うさぎとファンタジー

ばらばらな思いを整理する雑記帳。

おんな城主直虎(21)ぬしの名は

2017・5・28放送

 

キャスト

  •  中村与太夫(本田博太郎)…商人の町、気賀で町衆の元締め的存在の商人。

 

あらすじ

  お忍びで気賀へやってきた直虎は、綿布を売る取引先を見つけるために、早速町の権力者である商人・中村与太夫の元を訪ねた。気賀は全国各地と取引をしていて、外国との取引もあるということを知る直虎。気賀を見物していると、浮浪者のような少年に財布を盗まれてしまう。すぐ気づき追いかける直虎を、六左や方久は見失ってしまう。アジトらしきところへ戻った少年に直虎が追いついたところで、背後から現れた別の大人の男に殴られ直虎は昏倒した。

  直虎は縛られ蔵に入れられたが、そのアジトは以前直虎が牢に入れた謎の男がかしらをやっている組織で、謎の男をはじめメンバーにからかわれてムキになる直虎。その夜、殺してしまうのがいいと進言する手下に対して、俺の女にしようかなど冗談を言うかしら(謎の男)。一方、中村屋を通じて捜索させ、翌朝一旦井伊谷へ帰った六左は、屋敷に主だったメンバーを集め、報告していた。そこに方久が急ぎ戻ってきて、中村屋に脅迫状が届いたと知らせてきた。領主と引き換えに金百貫を用意し、指定の場所へ持って来い、応じる印に中村屋の前に赤い旗を立てよ、と言うものであった。そんな要求に応じてはならぬと激昂する之の字に対し、政次は応じるふりだけして受け取りにきた手下を捉えれば良いと進言する。

  その夜直虎は少しずつ箱を動かして落下させ、ナイフを手に入れる。そして縄を解き、居合わせたのであろう子供を人質にとって解放せよと言ったが、かしらは慌てず騒がずどうぞ殺せよといい、動揺した隙をついて子供は自ら逃げ出し、直虎はまた捕らえられた。どうしてこんな盗賊をやるのかと聞く直虎に、逆にかしらは領主など盗人と同じだと言い返してきた。

  次の日の朝、六左と之の字は少しの手勢を率いて、指定された場所へ向かったが、ひどい斜面と悪路で馬を降りなければならなくなる。直虎は指定の場所で柱に縛られた状態で、かしらと「領主は泥棒か」と言う議論を交わした。井伊の領主であると言う基礎が揺らぐような議論に動揺する直虎。六左と之の字は指定の建物に突入するが、そこには吹き矢で眠らされた直虎がいるだけで、他には誰もいない。之の字はそこで気づく。「奴らの狙いは馬か!」かしらと手下たちはその頃まんまと馬を3頭手に入れようとしていたが、そこへ飛んでくる矢に驚き、即座に逃げ出した。矢を放ったのは龍潭寺傑山であった(おそらく政次に依頼されていた)。

  夜更けまで龍潭寺で知らせを待っていたらしい政次は、直虎が無事帰ってくると聞き、厳しい顔を少しだけ緩めて屋敷へ去った。南渓和尚はその後ろ姿を心配そうに見送った。

  翌日、直虎は高瀬の心配と母祐椿尼の叱責を聞きながら世話を焼かれた。盗賊へ追っ手をかけないという直虎の決定に之の字は反発したが、直虎の反省ぶりに矛を収めた。生活は元に戻ったが、直虎の心には泥棒呼ばわりされた記憶がしっかりと残っていた。試しに高瀬に聞いてみると、やはり武家に奪われていると思わないものはいないだろうと言うし、祐椿尼も武家だって土地を奪わないと部下へやる褒美が手に入らないからまた戦をすると言う話をしてきて、やはりこの世は奪い合うことでしかやっていけないのかと直虎は呟く。

  方久が直虎に材木を切り出して売ったらどうかといい出して、直虎はあることを思い立ち、中村屋を通じてかしらに手紙を書いて呼び出し、一対一で話し合いを持った。そして、井伊の土地の材木を切り出す仕事を盗賊一味に任せることになった。(井伊7割、盗賊3割の取り分で)そして、聞き出したかしらの名前は、龍雲丸と言った。

  しかし之の字に龍雲丸を発見されてしまい…。

 

台詞

  •  (なぜ自分が泥棒呼ばわりされるのかと怒る直虎に対して)謎の男「ガキでも分かる話でさあ。百姓の作ったもん召し上げてんじゃねえか」直虎「年貢を取るのは井伊の土地だからじゃ。井伊の土地を貸しておるからじゃ」謎の男「なんであそこはあんたの土地なんだ」直虎「…え?」謎の男「なんであそこは井伊のものになってるんだよ」直虎「…井伊が鎌倉の公方様よりあの土地を任されておるからじゃ!」謎の男「だからそれが泥棒の始まりじゃろ。あんたの先祖に、やたら喧嘩が強いか調子のいいやつがいて、こっからここまで俺らの土地なって勝手に分捕っただけじゃねえか。武家なんて奴は泥棒も泥棒、何代も続いた由緒正しい大泥棒じゃねえか!」直虎「…」謎の男「俺らは武家かそこに群がってる奴らからしか盗まねえ。つまり、泥棒から泥棒仕返してるってだけだ。あんたらに比べたら、俺らなんて可愛いものだ」
  • (かしらに対して)直虎「幼い頃、我はカブを盗んだことがある。寺に入ったばかりの頃、寺の食事に耐えられず、ひもじくてな。追い詰められれば人は盗む。百姓に生まれようが武家に生れようが、人とはそう言うものじゃ。故に、我もそなたも等しく、卑しい。一人の人としてな。だが、それは幸いなことなのか。人として生まれ、卑しいことをせねばならんのは、幸いなことだと思うか。世を拗ね、泥棒を大義と嘯きつつも、つまるところは暗がりに隠れ住む、それでいいのかと聞いておる」立ち去ろうとするかしら。直虎「逃げるな!我も逃げずにお主の言葉を考えた。ならばお主も受け止めるのが人の道ではないのか!」戻ってくるかしら。直虎「人は卑しい。それは生きる力の裏返しでもあろう。なれど、卑しくなければ生きていけぬと言うのは幸いなことでは決してない!ならば、せねばならぬことは、卑しさをむき出しにせずともすむような世にすることではないのか」かしら「世!?」直虎「そうであろう?奪い合ってしか生きられない世に一矢報いたいと言うのであれば、奪い合わずとも生きられる世を作り出せば良いではないか!」(中略)「お主に言われ、確かに武家は泥棒かもしれぬと思うた。だが我はそれを認めるのはごめんじゃ。ならば、泥棒と呼ばれぬ行いをするしかないではないか。つまるところは己のためじゃ」

 

感想

  領主は泥棒か?

  このテーマは斬新だと思った。身分制が絶対だった時代、領主とか、武家とかは「そう言う仕組み」として平民にも受け入れられていたはずで、それ自体を批判するなんて発想はあほらしいと言われても仕方ないものだと思う。だから多分龍雲丸も、心の奥で思ってたかもしれないけど、口にしたことはなかったんじゃないかなと思った。多分、直虎があんまり真剣に応じてくれるので、モヤモヤした気持ちを吐き出したらああ言う話になったのかなって思った。武家を批判しながら一方でそれと同列に思っているはずの同じ泥棒行為をするって矛盾しているし。

  龍雲丸も、直虎の勢いと熱意にやられた一人になったかー。うさんくさくて盗賊っぽい彼が、更生して行く姿は見られるのでしょうか。それより先に臣下が黙っていないと思うけど(笑)

  龍雲丸には、あんまりときめかないのが難点かなあ。

  心配しているけど顔に出さない政次にときめいた!