うさぎとファンタジー

ばらばらな思いを整理する雑記帳。

おんな城主直虎(20)第三の女

2017・5・21放送

 

キャスト

  • 高瀬(髙橋ひかる)…直親の娘を名乗って井伊谷にやってきた少女。素直で働き者。

 

あらすじ

  突然現れた直親の娘を名乗る少女の存在に、慌てふためく直虎。あの直親に隠し子がいるなど、想像することもできず硬直するばかり。みすぼらしい格好で高瀬と名乗った少女は年の頃十四ほど、ゆきという母親を亡くした折に父親は亀之丞という名前だと聞かされて、それを頼りに井伊谷までやってきたそうである。亀之丞は死んだと伝えると、高瀬という少女はどこかへ去ろうとしたので、行く場所もなかろうと不憫になった直虎はとっさに引き止めてしばらく屋敷にいるように言ってしまう。

  直虎は「当主として」直親の娘であるなら確かめなければと、幼少の亀之丞を預かっていた家へ尋ねてみてほしいと南渓和尚にいうが、周囲の人は直虎の気持ちを気遣って腫れ物に触るような態度である。虎松から話を聞いて飛んできたしのなど、直虎を不憫がって泣いてしまったほどである。しかし当主として無理をして気丈に振る舞う直虎は、娘が増えれば調略にも使えるし、気にしていないと一蹴する。之の字や六左が恐々ともし本当に娘なら井伊家に連ねるべきだと進言すると、元からそのつもりだと呆れたように返す直虎。しかし政次は武田の領地からやってきた高瀬は武田の密偵ではないかと疑いを向ける。今川と武田が争うかもしれない今、武田の密偵がやってきてもなんの不思議もないし、あの年頃になれば十分働けるというのだ。

  そのころ今川からの譲歩を伝える手紙を受け取った松平家は、今後どうするか悩ましい状況に置かれていた。

  南渓和尚の元に亀之丞の過去の様子を知らせる文が届いた。ゆきという女は実在し、亀之丞と二人きりになっているのを見たものもいるが、子を成したかどうかはわからないということだった。もっと詳しい情報はないかと食い下がる直虎に、南渓和尚は自分が不義の子であるという冗談(?)を言うまでして、子供の父親など確かめようがないと説いた。

  間者であったとして、それでも受け入れると言う選択肢はあるかと聞く直虎に、政次は「(間者であることにしてしまえば)追い出したとしても格好がつくと言うているのだ」と優しく、かつ突き放すように返した。しかしその時、懐かしい、懐かしい、亀之丞の笛のメロディが廊下から聞こえてきたのだ。歌っていたのは床掃除をしていた高瀬で、彼女は母がよく口ずさんでいたもので、とだけ言った。直虎は、心を決めた。

  井伊家の姫として高瀬を迎えるためお披露目会を開くことになったことを聞いたしのが、ご初代様の井戸に向かうと、そこには落ち込んだ様子の直虎がいた。強がる様子の直虎に、しのは慰めの言葉をかける。すると突如として直虎は憤りの表情を見せ、いままで直親がどんなに優しく情熱的な言葉をかけてくれたか、そしてそれが偽りであったことを熱弁し、しのも共感して直親への怒りをぶちまけた。最終的に直虎はご初代様の井戸を覗き込み、「卑怯者!先に逝ってしまいおって!これでは恨み言も言えぬではないか!」と罵ると、しのも同じく井戸に向かって声を荒げた。そして、直親が悔しがるくらい立派な女子に高瀬を育て上げてみせると直虎が言うと、しのも同意した。二人で少し笑みをかわし、その声はすぐに泣き声に変わった。

  高瀬は直親の娘と認められて嬉しがったが、同時に直虎に向かって母のことを謝った。直虎は肩に手を置いて頭を上げさせ、「そなたは直親の娘で、これからは我の娘じゃ」と微笑んだ。

  高瀬を姫と認めるお披露目会が設けられ、皆で宴をして楽しんだ。虎松は急に現れた姉に対してぎこちない態度であったが、直虎としのに促され挨拶を交わしていた。その様子を見て政次は、「死せる直親、生ける二人を結ぶ、か」と呟いた。

   後で南渓和尚に直虎が愚痴を言っていると、南渓和尚は昔の直虎(おとわ)と高瀬の共通点を挙げ、高瀬の母君は昔の直虎(おとわ)に似ていたのではないかと示唆した。

  松平の、常慶という山伏が南渓和尚を訪ねてきて、現在の状況はすべては織田が操っていて、武田は織田と同盟し、松平は織田の臣下も同然と教えてくれた。武田は今川家の嫁を持つ嫡男を廃嫡し、四男勝頼を後継にして織田から嫁をもらうという話だった。これでは今川は、武田に対抗して松平と手を組むこともできないという結論である。

  そして新年、政次は駿府へ挨拶に行き、今川氏真はその席で「武田を絶対に海には通さぬ」と憎しみのこもった眼差しで断言した。また、瀬戸方久が進めていた火縄銃開発は駿府の商人に奪われてしまった。そして井伊谷に帰ってくると、「これからは気賀の時代よ」と叫び、商人の治める街・気賀に直虎を連れて行った。

 

台詞

  • (直虎に対して)しの「おいたわしや、直虎様。私とは結ばれるずっと前のことなれど、直虎様にすれば…。直虎様はご出家までされたのに、その間に直親様は、どこぞの女子とよろしゅうなされておったということにございましょう。直虎様が厳しいご修行中に、どこぞの女子の前でも笛を吹き、甘ったるいお言葉をかけられ、子まで成し…」
  • (直虎に対して)南渓和尚「表向きはそうなっておるがの、わしは母の不義の子じゃ。おおじじ様は最後までご存知なかったがの。あまりにも申し訳がないゆえ、まかり間違っても井伊を継ぐことだけはあってはならぬと、母がの、様々な理由をつけてわしを寺に放り込んでしまったのじゃ。…ありゃ、信じんかったか」
  • (直虎に対して)しの「実は私、ずっと感じてはおったのですが…、直親様は己が清しく見えることを明らかにしておられ、そしてそれを自在に使っているのではないかと」直虎「しの殿も感じておられたか!」(中略)しの「なんという二枚舌!おのれ、スケコマシが!」直虎「…スケコマシ?」しの「スケコマシにございましょう!?我らはともに、見事にスケコマされたということにございましょう!?」

 

感想

  直虎としのの意気投合ぶりに爆笑した。これまでひどく遠く、場合によっては敵対してきた二人が、ここまで意気投合するとは全く思ってもみなかったので、予想外にうまく行ってよかった。しのが怒っているのがすごく伝わってきて、しのがかわいいなあとしみじみした。しかしスケコマシとは…直親の今までの美しい思い出が(笑)

  直親は死んでしまっていて、真相を問い詰めることも裏切り者と詰ることもできない虚しさに、ふと涙がこぼれてしまう、あのシーンはすごくよかったと思う。傷ついた直虎の心に寄り添ってあげられたのがしのというのも、巡り合わせなのかな、と。

  これからは激動の戦国時代へと突き進んでいくのでしょうか?