うさぎとファンタジー

ばらばらな思いを整理する雑記帳。

おんな城主直虎(17)消された種子島

2017・4・30放送

あらすじ

  之の字が瀬戸方久に取り寄せてもらった「種子島」という名前の火縄銃を、直虎へ自慢げに見せに来た。「筒口から、弾薬(たまぐすり)と弾を込め、火皿に口薬を詰め、一旦火蓋を閉じます。火縄を火挟に挟み、火蓋を切り、的に向うて狙いを定め」と言いながら的を撃った。直虎は妖術かと慌てふためくが、之の字は、武力の足りない井伊には誰でも扱える火縄銃は必要だと説得する。しかし一つ十貫であることから、金が足りないと直虎は渋い顔をする。方久も、弾薬などもたくさん必要で、それもまた値が張るから井伊には分不相応という意見である。しかし戦備えが不十分だと危急の時に井伊が滅ぼされるという之の字の主張に、直虎は井平(いだいら)という鍛治の村で種子島を作ることができるのではないかと微笑む。早速持ち込んでみると、職人はからくりの部分がうまく作れるかわからないといいながらも、やってみなければわからないと乗り気な様子であり、見本に本物の種子島を渡し、作ってもらうこととなった。

  政次は駿府へ挨拶に行き、今川氏真に倒れた寿桂尼の具合を尋ねる。直虎の後見を認めたのは寿桂尼なので、寿桂尼にもしものことがあったら覆ってしまうかもしれないと心配しているのであろうか。家へ帰っても考え事をする政次は、甥の亥之助から銃弾をわたされ、これは何かと尋ねられる。分からぬふりをする政次だが、もちろん火縄銃の弾であることはわかっていた。さっそく直虎へ会いに行くが、変わったことは虎松が手習いを始めたことくらいだとはぐらかされてしまう。

  直虎が寺に行くと、虎松が中野直久(之の字の弟)と囲碁五目並べをしているところだった。しかし対戦相手の直久に手加減され、横から見ている亥之助に助言されて、ようやく勝っている様子の虎松を見て、直虎はそれでは勝負になっておらぬ、手加減するなと怒ってしまう。すっかり怖がって落ち込んでしまう虎松。

  村では綿花が順調に成長し、新しくやって来た村民も馴染んで、鰯から作る肥やしの作り方などを教えてくれていた。三年荒野を聞きつけて村にはどんどん人がやってくるようになった。

  昊天が直虎を尋ねて来て、虎松が手習いに来なくなってしまったと教えてくる。直虎が手加減するなと言ったせいで、本当に手加減されなくなってしまった虎松は、一番年少なことも相まって、遊びも何も全く勝てなくなってしまったのだ。しのは手習いを家でやる形に変えてほしいと言ったようだが、直虎は後継がそのようにひ弱でどうすると怒って屋敷へ押しかける。しのの制止を振り切って虎松に詰め寄ると、虎松はその剣幕に泣き出してしまう。しのは、ならば跡継ぎを自分で産めば良いと暴言を吐き、虎松を匿うが、直虎はその虎松に向けて悔しくないのかと声をかける。

  その話を聞き、母祐椿尼の侍女のたけが、直虎の子ならば育てて見たいと冗談を言うと、直虎は跡継ぎは直親の子でなくてはならぬと声を荒げてしまう。

  直虎はある夜、井戸の近くで以前助言をくれた謎の男と再会する。南朝のさる巫女様が埋めた財宝を探していると嘯く男に以前忘れてしまった水筒を返してもらおうとしていると、一緒に行くかと誘われて断る直虎。尼として振舞いながら、手習いに来なくなった子がいると愚痴をこぼすと、謎の男は何かで勝てば楽しさがわかるようになるのではと助言をする。そして直虎はまた水筒を忘れた。

  夜遅く、直虎は虎松の部屋へ梯子をかけて直接訪ねた。膝を付き合わせて座ると、幼い頃の亀之丞の話を虎松に聞かせた。体が弱くとりえは笛だけだった亀之丞が、成長したら武芸も知識も頼れる青年になっていた。虎松はそれを聞いて、それは悔しかったから、自分はなんでもできないといけないのに、と言いながら泣いた。侵入者に気づいたしのが心配すると、虎松は勝ちたいと言ってさらに泣いた。そして必ず勝たせることを条件に、直虎が直接虎松を指導する許可を勝ち取ったのである。さっそく五目並べの特訓を始める直虎と虎松。

  そうして、再び亥之助と五目並べの勝負をすることになった虎松。亥之助は事前に政次に五目並べの秘訣「先手に利がある」を学んでいたため、自信満々に差し、あっという間に虎松を破ってしまう。しかし、虎松は泣き出したりせず、指を空に突き上げながら「亥之助、もう一度じゃ!」と言った。しのはその光景を見て、昊天に頭を下げてさらなる指導をお願いし、帰っていった。

  その後、急な知らせに直虎は呼び戻される。なんと、井平のものが駆けつけて言うには、見本のものも作っていたものも何者かに盗まれたと。すぐ井平へ向かおうとするが、その目の前に政次が現れて、種子島を差し出して来た。こんなものを作っているとは目付として見過ごせないと言う政次は、謀反を企んでいるのではと疑う視線を直虎と之の字に向ける。謀反ではないと之の字が主張しても疑う政次に一触即発の事態に陥ってしまう。そして、政次は助けて欲しければ自ら後見の座を降りよと直虎に言ってくるのである。

台詞

(直虎に対して)しの「ならば、跡継ぎにしていただかなくてもようございます。虎松は泣き虫で、できの悪い子でございますから、到底、ご立派なあなた様の跡継ぎになどなれますまい。左様に虎松にご不満なら、ご自分で、腹を痛めてお産みになってはいかがですか」

(虎松に対して)直虎「悔しくないのか。叶わぬからと尻尾を巻いてひきさがり、それで良いのか」

(たけに対して)直虎「さようなことが許されるわけなかろう。井伊は、井伊は、直親の子が継がねば!」

(あやめに対して)しの「(直虎に)取っていかれる気がするのです。虎松を。あの子は、直親様の血を継いでいるから」あやめ「直虎様は、母上にはなられませんよ。なられるとすれば、父上でしょう。なんだか父親のようではありませんか」

(直虎に対して)「かように脇の甘いそなたが、井伊を守りきれるとは到底思えん。おとなしく後見を降りられよ。それが井伊のため、そして御身のためだ」

感想

  なんだかタイトルとは裏腹に虎松の話が大半だった。虎松を演じる子役の子、本当に演技がうまくて、悔しそうな表情とか泣き出してしまうところとか真に迫っていると思った。いずれ虎松も亀之丞みたいな、強くはなくても思いやりがあって優しい、武家の跡継ぎとは思えないタイプの好青年に育って行くのかなあ。楽しみ。そして負けても諦めないでもう一回!と叫ぶのは、おとわのエピソードだから、なんだか懐かしくなってしまった。直虎が虎松に厳しくするのは、直親の跡継ぎを立派に育てたいからであって、確かに父親的な期待の表れなのかなと思うと、直虎としのでちょうどよく父親役と母親役ができることになる。

  種子島という名前の火縄銃、おもしろいなあ。しかし、試し撃ちを之の字本人がやっちゃうところはどうかな、暴発するかもしれないのに、と思った。百姓に持たせて、と軽くいうけど、もし暴発して死んじゃったら、直虎すごく後悔するんじゃないかな。ちゃんと百姓のこと人間扱いしているし。まあ火縄銃なんて簡単には作れないと思うけれどね。

  政次は何考えてるのか本格的にわからなくなって来て、政次のお父さんによく似て来たと思う。亥之助と会話しているところなんて、以前のお父さんと政次と同じように見えたもの。もっと味方同士分かり合えるといいなあと思います。