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うさぎとファンタジー

ばらばらな思いを整理する雑記帳。

おんな城主直虎(13)城主はつらいよ

キャスト

  • 中野直之(矢本悠馬)…中野直由の嫡男。まだ若いが、父親に似て強情な性格で、女の直虎が虎松の後見人になることに猛反発する。
  • 奥山六左衛門(田中美央)…奥山朝利の息子。兄の孫一郎も亡くなったため当主となる。気弱な性格。
  • 瀬戸方久ムロツヨシ)…無一文から商売で成功を収め、現在は豪商として金貸しをしている。非常な野心家でありうさんくさい。

 

あらすじ

  井伊家は虎松の後見問題で揺れていた。後見人として今川から派遣されてきたのは、井伊家を裏切り今川家に与したと噂される小野政次。これに対抗して後見人へ立候補したのが、おとわこと直虎である。しかし家臣の中野直之奥山六左衛門は猛反発する。南渓和尚の説得によりしぶしぶ鉾を収める家臣たちだったが、小野政次は直虎が本気で後見人をやるつもりがあるのかと、懐疑的な様子。それでも小野政次は家老として殿を支えていきたいと発言し、形式的には認めてくれた。

  南渓和尚は直虎に仮名目録という書物を手渡す。それは、今川家の先先先代氏親が国を定めるために作った掟(分国法、1526年)であった。直虎は統治の仕方をこれから学ぶことになる。

  この頃、しのと虎松、なつと亥之助は新野のお屋敷に身を寄せていた。そこにやってきた奥山六左衛門が、虎松の後見問題を伝え、しのは直虎も小野政次も嫌だと拒否反応を示す。

  小野政次と同じく目付けをすることになった近隣領主たち(鈴木重時菅沼忠久近藤康用)の会合が行われていた。面倒ごとの重なる井伊をもし貰っても得はないと笑う領主たちに合わせて苦笑する政次は、直虎はすぐに根を上げるだろうと言うだけである。

  案の定慣れぬ政務に手こずっている直虎に、小野政次が助け舟を出すがはねつけられる。そこに治める瀬戸村から村長が、城主の代替わりへの挨拶へやってきて、瀬戸村にどうかお越しくださいと言うので、すぐ次の日に直虎は中野直之を伴って瀬戸村を訪ねる。すると、田は耕されぬまま放って置かれている。わけを尋ねると、戦が続き、村の男手が足らず、耕しきれないとのこと。それでも年貢は納めなければならず、急場凌ぎに銭主に借りて首が回らなくなっていると言うのだ。村民はみんな土下座してどうか徳政令を出して欲しいと懇願する。徳政令とは銭主に対して、借金を棒引きせよと言う命令のことである。反対する中野直之を押し切って徳政令を出すと約束してしまう直虎。

  しかし屋敷に戻ってみると、奥山六左衛門が顔を青くして証文類を持ってくる。どうやら井伊家もおなじ銭主から大量に貸付を受けていたらしい。

  その銭主、瀬戸方久が屋敷を訪ねてくる。顔を見て、直虎は首を傾げ、どこかで会ったかと聞くと、瀬戸方久は子供の頃の直虎を匿ってくれた村のはみ出しものであったことがわかる。懐かしがる直虎に、方久は経緯を説明する。貰った銭を元手に、浜名湖畔でとれすぎて余った魚を安く大量に買って干物にし、山間の村々で売りさばいて銭を増やし、潰れかけの茶屋を買って安く茶を出すようにすると大繁盛、すると次の戦がどこであるかという情報が手に入るようになり、それからは戦場で商いをするようになった。食べ物を戦場で売り、戦が終われば刀剣や鎧などを拾って次の合戦に持ち込み、それを繰り返すうちに倉が建つほどの豪商になっていたという。

  瀬戸方久に瀬戸村の借金の棒引きを依頼すると、目を丸くして驚いたが、すぐに頷いた。「今ここで、井伊家への借金を耳を揃えて返していただければ」。そんなことはできないと直虎がいうと、すぐにしたり顔で、「できますよ。お屋敷と、村を二つ三ついただければ」「そんなことをしたら井伊は潰れてしまう!」。

  そういうことで徳政令を出すことができなくなり困る直虎。さらに噂を聞きつけて祝田(ほうだ)村の村長も徳政令をお願いしにくるが、直虎は逃げるしかなかった。そこに現れた小野政次がまだ諦めないのかというと、直虎は「お前が領主になるのだけは、例え井伊を潰してもごめんじゃ」と吐き捨てる。

  この頃、松平は一向一揆に足元をすくわれ、今川は反対勢力を潰して勢いを盛り返していた。小野政次は完全に今川家に取り入っていた。

  直虎は方久と話していいアイデアを思いつくが、それを実行に移すことにためらいを感じ、南渓和尚に相談した。すると、「己の信じたものを灯りとし、進んでいくしかない。自灯明は、人の上に立つものの喜びでもあり、また辛さでもあろう」と和尚は言う。直虎は決意のもとに直筆で命令を書く。

  家臣たちを集めた会議に瀬戸方久も呼び、そこで直虎は「徳政令は出せぬ。そこで、瀬戸方久を家臣の列に加え、瀬戸村祝田村をその領地とする」と言った。「方久には年貢が入ることとなるので、現状の借財の返済は猶予、百姓は年貢のみを収めれば良いものとする。加えて、村に新たな商いを起こし、百姓たちが自ら返済できるように方久が面倒を見ること」と命じ、方久は頷いたが、中野直之奥山六左衛門は全く受け入れられないと言った様子で怒り、席を立ってしまう。追いかけようとして衣装を踏んで転んでしまう直虎を、小野政次が助けようと手を伸ばすが、完全に無視される。

  直虎が方久に謝ると、方久は「慣れている。はみ出しものだったおらがここにこうしていられるのは銭のおかげ」という。直虎が苦笑すると、「笑い事じゃねえ。銭さえ持っておりゃ人は頭を下げる、銭周りがよければ人は寄ってくるで。銭は千騎の武者にも値する、力じゃ。瀬戸村から銭が湧き出すようになれば、みな直虎様を認める」と笑う方久にほっとする直虎。しかしそこに、急な報せが飛び込んでくる。なんと、瀬戸村祝田村の百姓たちが今川に徳政令を願い出たというのだ。なぜ井伊家を飛び越して今川家に、と驚きを隠せない直虎である。

 

感想

  考えていたより長くなってしまった。

 政務に慣れず四苦八苦する直虎の様子がコミカルに描かれていて面白い。それでいて、思いやりの深いところ、こうと決めたら行動力のあるところなど、直虎らしい。しっかりと直虎らしさを描いてくれているので、展開もすぐ飲み込めてわかりやすい。

  瀬戸方久、これは難しい立場にいきなり立つことになったけれど、野心ゆえにか平然としていて頼もしい。しかし、逆に怪しいとも言える。本当に直虎の味方になってくれるのか、わからない。経緯を説明するときの絵がコミカルで笑った。変顔がうまい。

  小野政次は完全に悪役ポジションになってしまっていて、直虎の信頼がマイナスにまで落ち込んでいるのがよくわかる。しかも取り戻そうともせず、あからさまに今川にすり寄っているし、これでは裏切ったな、と思われても仕方ないかもしれない。けれど、いつもは見えていた感情の揺れを完全にシャットアウトして無表情になっている政次も、見ようによっては影があっていいかんじ。