うさぎとファンタジー

ばらばらな思いを整理する雑記帳。

おんな城主直虎(12)おんな城主直虎

2017・3・26放送

キャスト

あらすじ

  駿府へと申し開きのために出向こうと少しの共を連れて旅立った直親は、道中でおそらく今川方と思われる武士たちに襲われ、混戦の中必死に逃げ出そうとするが叶わず、奥山孫一郎今村藤七郎ほか武士たちとともに殺されてしまう。倒れてしまうその時、直親の脳裏をよぎったのは、どんな卑怯な手を使っても戻ってくるのだと叫ぶおとわの姿であった。

  同じ頃おとわは冷水を頭からかぶりながら般若心経を唱え続けており、凍えて倒れてしまう。その直前、いつもの直親の姿を見る。(幻覚)

  直親に随行したうちの一人が井伊谷に帰り着き、掛川城手前で襲われたことを伝えると、家臣たちに衝撃が走る。実の孫を失った井伊直平は「元よりそのつもりなら切腹を申しつければ良いではないか。これではなぶり殺しではないか」と泣きながら叫ぶ。

  凍えてすっかり寝込んでしまったおとわの看病をする母・祐椿尼(千賀の出家後の名)は、おとわを連れて行こうとする直親の気配を感じて、おとわの手を取り一喝する。

  現場を目にした南渓和尚傑山ほか僧侶たちはあまりに無残な死に方に吠えながら怒りをあらわにする。南渓和尚は雪の積もってしまった直親から雪を払いのけると、「ここは寒かろう、井伊に帰ろう」と言いながらすがりついて泣き出す。

  三日三晩寝込んでいたおとわが起きだすと、直親や他の武士たちが屋敷に運び込まれたばかりであった。寝間着のままふらふらと歩きながら直親の元にたどり着くおとわ。しかし触れようと伸ばした手はしのに振り払われる。「そなたが殺したようなものではないか」と言いながら泣くしのに、空っぽな瞳で「しの殿のおっしゃる通りだ」とだけ返すと、その場をふらつきながら離れた。

  皆の葬儀の場におとわは行かず、直親に頼まれた経をご初代様の井戸で読んでいると、自然と涙が溢れてしまう。

  今川から虎松を殺せと御達しが届き、新野左馬助がなんとか取りなすと約束して駿府に向かうが、新野が切腹するから慈悲をと氏真に申し入れると、別の交換条件を飲まされてしまう。その後ろには小野政次がおり、氏真に策を授けていたのであった。松平に対して一向一揆を起こさせたのも政次の策であり、一向一揆のみならず身内の一向宗にも背かれ、それによって松平元康の勢いは沈静化していく。

  落ち込んで暮らしているおとわが井伊直平に呼ばれて酌をしにいくと、中野と新野もおり、今川に虎松の命を助ける代わりに出兵するよう要求されたと明るく話してくる。「どこかのだれかのせいではない、仏様がお決めになったことだ」と直平が、「守るべきものを守るために死んでいける男は果報者にござる」と中野が言う。おとわと酒を酌み交わすことが夢だったと語る直平と、母が見守る前で盃を交わすおとわ。それ以降おとわは木陰に隠れて飲酒を続け、役に立たない自分を責め続ける。

  その年、直平は今川に反旗を翻した阿波野氏を攻めるために出陣し、陣中にて不審な死を遂げる。新野左馬助中野直由は反乱を起こした曳馬城の飯尾連竜討伐に向かい討ち死にした。

  その後、小野政次が目付役として近隣の国衆の近藤康用鈴木重時菅沼忠久をともなって井伊谷へ帰ってくる。そして今川氏真の命により、政次が虎松の後見になったことを告げる。直接それを聞いた祐椿尼は怒りを抑え、南渓和尚を頼ると、女子ではあるが次郎法師は次郎の器だ、と微笑まれる。

  いつものようにご初代様の井戸端にいるおとわを政次が訪ねてくる。急な帰還に不審な思いを抱くおとわは、政次に直親の信頼を最初から裏切るつもりだったのかと泣きながら厳しく問う。すると政次は暗い瞳でおとわを見つめ、「恨むなら直親を恨め。下手を打ったのはあいつだという。凍りつくおとわに、政次は硬い声で、「何度も同じことを繰り返し…井伊は終わるべくして終わったのだ」とだけ言って立ち去る。おとわは怒りから昊天の槍を持ち出すが、同時にその殺意を抑える理性も働いて、皆の前で自分を責めながら地面を突き続け、槍を壊してしまう。すると、小坊主が「次郎様は井伊の竜宮小僧ではございませんでしたか」と問い、南渓和尚は、「己を責めたとて、死んだものは帰らん。じゃが、生きておるものは死んだものを己の中で活かすことができる。例えば、偲ぶことで。例えば、習うことで。時には、習わぬことで。他には…ないかのお」と微笑む。おとわの脳裏には幼い頃、亀之丞に対して誓ったことが蘇っていた。おとわの口から新たな誓いの言葉が溢れる。「亀に、この身を捧げる。亀の魂を宿し、亀となって、生きていく」。南渓和尚は優しく、「それが、お主の答えなのじゃな」と言った。

 祐椿尼はおとわの嫁入りの時のために用意していた衣装を取り出し、おとわの肩にかける。おとわは微笑みながら、「直親は最後に話した時、帰ってきたら一緒になってくれと言ったのです。こう言う意味だったのかもしれませんね」という。

  南渓和尚は政次ほか関係者のそろう席で、まだ幼い虎松の後見人を推挙すると言う。その名は、直虎。そして、驚く人々の見守る前で、派手な打掛をまとったおとわが勢いよく入ってくる。

  直虎は微笑んで言った。「我が、井伊直虎である。これより井伊は、我が治めるところとなる」

 

感想

  おとわの直親への想いがすごく、重い。それは多分直親に向けてのものだけでなく、彼が背負っていくはずだった井伊谷の未来がその上に乗っているからだと思う。おとわをはじめとする井伊家の未来を担っていくはずだった直親を失って、おとわは自分をも失ってしまう。その間にも、どんどんと井伊家の重鎮たちはいなくなってしまい、完全に今川の犬と化した小野政次が戻ってきて、井伊家は大ピンチ。おとわも決断を迫られるのであった。

  今までは単に家臣として描かれてきた人たちが、いかに井伊谷を大事に思っていたのかがわかる一幕。しかし、彼らが死んで井伊谷を守ったことで遺族たちの今川への恨みは増すばかりだったとも思うけれど。直満、直盛、直親、直平とたくさんの井伊家の人々が亡くなってしまって、残るは幼い虎松のみ、そこに満を持しての直虎ですよ。これは盛り上がる展開。しかし、なかなかうまくはいかなさそうだけど…。

  そしてどうしたのかと心配していた政次が帰ってきたけれども、誰も喜ばない。どころか、裏切り者を非難する眼差しを向けている。それを政次は当然のように受け入れているし、わざわざ嫌われるように仕向けているのかもしれない。やはり罪悪感が、自分は裏切り者だと思わせているのかもしれないし。特に久々に会ったおとわに対する態度、あれはひどかった。あれで完全におとわは政次を嫌ったし、政治的にはわからないけど、個人的には敵だと思われたと思う。政次は、おとわに顔向けできないと考えたからそんな態度になるのかな、とも思った。

  もう一つの饅頭が使われる時が、きましたよ。