うさぎとファンタジー

ばらばらな思いを整理する雑記帳。

おんな城主直虎(11)さらば愛しき人よ

2017・3・19放送

キャスト

 

あらすじ

  松平元康の本格的な寝返りに気づいた今川氏真寿桂尼によって、元康の妻である瀬名が自害に追い込まれそうになっていたまさにその時、単騎で石川数正が駆け付け、人質の交換を申し入れてくる。寿桂尼の孫であり、今川氏真の従兄弟に当たる鵜殿長照は、上ノ郷城が陥落した際に自害していたが、その子供たちを元康は捕らえ、交換に利用したのである。

  瀬名は岡崎城へ旅立つ前に母である佐名と「今川を手に入れる」という約束を交わす。佐名は駿府城に残り、そののち自害に追い込まれる。

  井伊谷に帰ったおとわは心配していた直親に顛末を話して聞かせ、直親はその作戦に感嘆する。

  今川家では、相次ぐ裏切りに混乱する氏真と、行く先を憂える寿桂尼によって作戦が練られる。「事というのは起こさせねば良いのです。起こる前に握りつぶすのです」

  山伏風の男により、おとわに松平元康からお礼の品が届き、直親に対して鷹狩のお誘いの文も同封されていた。その夜、直親は書状を目付役の小野政次に見せ、密かに松平元康と接触しようと思っていることを打ち明ける。今川に謀反の疑いがかけられるかもしれないと二人とも分かった上で、計画が練られる。「選ぶ余地などないではないか。俺とて、今川と共倒れはごめんだ」政次は、一切誰にも口外しない事と、一切を自分に知らせることを条件に、今川から庇い立てすることを了解する。

  松平元康との面会を終え、直親はもらった書状を見せながら政次に話して聞かせた。「お年の割に貫禄がある精悍な顔つきのお方で、手に刀傷があった」と。今川の支配から脱すれば、おとわの還俗も叶うと直親は言い、「そうすれば、お前と添うのが良いのではないかと思っている」とも言うと、政次は懐疑的な様子である。政次は、「これまで我慢してきた分、なにもかも次郎様のお好きにできるように計らってほしい」とお願いする。そこにおとわもやってきて、昔のように3人で仲良く語らう。おとわは「何やら昔に戻ったようじゃのう」と嬉しそうにつぶやく。

  翌日、呼び出しを受けた政次はいつもの報告をしに駿府へと旅立つ。その後、松下常慶という山伏風の謎の人物が訪ねてきて、松平元康からのお礼の品を持ってきたというので、おとわはもう貰っていると驚き、慌てて直親に報告に行く。「われらは、今川に計られたのかもしれぬ」

  政次は駿府寿桂尼と直に話をしていた。「井伊が松平と内通しているという噂を耳にしてのお」とわざとらしく言いながら、直親が書いた書状を床へと投げる寿桂尼。知らぬ存ぜぬを通そうとする政次だが、寿桂尼が呼んだ人物の風体が直親の言った通りのものであることに気づいてしまう。今川の目付でありながら裏切りに加担していたのかどうなのか、答えを選べと問われた政次は、「選ぶ余地などございませぬ。 私は、父の代から恩顧を得ました、今川様の目付でございます」と震えながらいうしかなかったのである。

  直親は駿府から呼び出しを受ける。こうなっては松平元康に合力を願うしかないと、おとわと南渓和尚と松下常慶は岡崎城を訪ねるが、すげなく却下されてしまう。おとわは瀬名を頼って、滞在している寺を訪ね、瀬名に井伊谷に来てもらい松平元康の合力を引き出そうと頼み込むが、そもそも松平の家臣たちに捨て置かれそうになっていた身の上でもあり、弱々しく断られるばかり、最後には寺を追い出されてしまう。「私は参れませぬ。井伊に置き去りにされては、私は今川を手に入れることはできませぬ。亡き母と約束したのです」という瀬名に、泣き叫びながら寺の扉を叩き続けるおとわ。

  駿府では政次が、父のようになりたくないと思っていたのにという顔をして欄干にもたれかかっていた。

  今川の兵がすぐそこまで迫っているという知らせに大慌てになる井伊家の家臣たち。迎え討とうと立ち上がる井伊直平や家臣たちに、直親は、「是非、さように願います。虎松がかような状況に追い込まれた時には。此度のことはそれがしの失態、それがしが申し開きに向かえば済むことでございます」とだけ告げる。

  深夜まで帰りを待っていたしのと虎松に、直親は笑顔で、虎松はご初代様の生まれ変わりではないか、お前が生んだのはただならぬ子供ではないか、と語りかける。直親は虎松に、「生きておれば、必ず、好機はある」と語りかける。

  翌朝、帰って来たおとわに直親が謝ると、おとわは私が命乞いなどしなければ、私が男子であれば、といって自分を責めた。直親は、「それは困る。もしおとわが女子でなければ、俺のたった一つの美しい思い出がなくなってしまう」と泣き笑いの顔で語る。経を読んでくれと頼む直親に、おとわはあれは死者を悼むためのものだと断る。泣くのをなんとか堪える様子のおとわを直親は抱きしめて、戻ったら一緒になってくれと叫ぶと、おとわも抱きしめ返しながらこころえたと囁く。背を向ける直親におとわは「待っておるからな、亀。何をしても、どんな卑怯な手を使っても、戻ってくるのじゃ」と叫ぶと、直親は一瞬笑って頷き、立ち去る。

 

感想

  あまりにも見事な別れの描写に言葉も出ないほど心を打たれた。前半ののんびりとした空気と、後半の緊迫感溢れる空気の違いをよくおとわが作り出してくれていたと思うし、直親の憂いのある表情や政次の疲弊した様子とかも臨場感にあふれていた。

  おとわと瀬名の友情に大きな亀裂が入ってしまったことが、とても辛い。これでは仲直りできないままかもしれない。

  直親と政次の今までにないくらい良好になった信頼関係が寿桂尼の策略によって崩壊してしまう様子は胸が締め付けられるような寂しいものだった。救いは直親は政次を信じたままだったということかな。

  直親とおとわの関係も終わりを迎える。物分かり良く諦めて政次と夫婦になればいいとまで発言した直親が、やはり本心ではおとわと夫婦になりたいと思っていたという展開がすごくよかった。最後におとわが直親を亀と呼ぶのもよかった。あの3人は子供の頃はすごく仲良しだった、それがすごく切なく悲しい思い出になってしまうなんて。

  周りの家臣たちも次々と当主と仰ぐべき人を失って、これからどうすればいいのか、ってなってしまいそうで心配している。肝心の虎松はまだ幼児で、当主に仰ぐにはまだまだ時間がかかるし。ここで主人公の出番が回ってくるわけですね!