うさぎとファンタジー

ばらばらな思いを整理する雑記帳。

おんな城主直虎(7)検地がやってきた

2017・2・19放送

キャスト

 

あらすじ

  小野政次新野左馬助駿府の今川館へ出向き、直親の帰還と家督相続を認めてもらえるよう願い出る。これに対して今川義元は、直親をおとわを添わせることのないように釘を刺した上で、認める代わりに井伊谷での大規模な検地を実施するように命じてくる。検地とは、田の面積や住人の数などを記した目録を検地奉行に提出して、検地奉行がそれを確認することであり、その検地に基づいて税を課したり徴兵が行われるのである。

  これに大反発したのは川名の領地を治めるご隠居の井伊直平で、川名には隠し里があり、それを今川に知られるわけにはいかないというのである。直親がその隠し里を訪れると、そこは川名の領地から道なき山道を分入って進んだ先にある山に囲まれた棚田で、そこは豊かな田んぼの風景が広がっていた。直平が言うには、以前今川と戦をした時に劣勢になった井伊家はこの隠し里に潜み、難を逃れたのだとか。川名の隠し里は井伊にとって最後の砦なのだという直平に感銘を受けた直親は、なんとか隠し通そうと直盛に進言し、また今川家に瀬名という友人を持つおとわにも検地奉行の弱みを探って欲しいとお願いする。

  井伊家家臣から指出(さしだし)が次々と小野政次に届けられる。指出とは自分の領地の検地に必要な資料を集め提出することであり、目付役である政次にそれを取りまとめ検地奉行に渡す役割があるのだ。よって、川名の隠し里のことを政次が検地奉行に告げてしまえばご破算になってしまう。そこで直親は川名の指出と隠し里の指出を別々に作成した上でどちらも政次に手渡し、今川と井伊の間に挟まれている小野の立場を分かった上で、隠し里の指出を今川の検地奉行に知らせるかどうかは政次が決めてくれと告げる。小野玄蕃は直親が信じてくれていると喜ぶが、政次はそうは思えないでいた。

  検地奉行の岩松が井伊谷にやってきたが、政次は隠し里の指出を提出せず懐に隠し持ったままでいた。岩松は期待されていたものと正反対の几帳面さを発揮し、部下に縄で田の寸法を測らせ、指出を修正していく。もしかしたら隠し里が判明してしまうのではと不安になる直親の姿を見て、おとわは政次を訪ねて直親を助けてやって欲しいと頼むが、政次は直親のせいで自分は縁談を断られたり嫌な思いをしてきた、もう損をするのはごめんだという。政次「では還俗して俺と一緒になるか?」

  結局検地奉行に隠し里は判明してしまうものの、直親と政次の言い逃れでなんとか井伊家の土地ではないと納得させることができ、瀬名からの文で知ったおとわが検地奉行岩松の亡き妻の月命日の供養をすることでその心を解きほぐし、検地は無事に終了した。

  ところが直親と政次の仲は決裂してしまう。政次「私を信じられないというなら構いませんが、信じる振りをなさるのはやめていただきたい」直親「井伊家を守るのはおとわのためと思ってはもらえぬか」政次「…お前のそういうところが好かぬ」

  直親の妻しのがおとわへの嫉妬で苦しむのを見かねて、直親としのは家を山向こうの村へと移されることになる。

  小野玄蕃は小野家と井伊家が縁つづきになるために、しのの妹のなつと結婚することに。また、今川家では人質の竹千代こと松平元信が、今川家の松平家支配を盤石にするために瀬名と結婚していた。

 

感想

  結婚が立て続けに決まっていくけれど、どれも本人の気持ちではなく家同士のつながりのため。なのであまり幸せそうではないところがつらい。

  今回は政次の気持ちについての回でした。

  そもそも小野政次は目付役が故に今川家の犬扱いされ、井伊家での立場が弱い上に敵視されている。しかし今川家に大事にされているとは言えない。今回の隠し里の件では、もし隠蔽して見つかった場合、井伊家は誰もかばわないだろうし今川家にも処罰を受けかねない。では隠蔽せず正直に言えば、今川家には何もされないだろうが井伊家との関係が決定的に悪くなる。どちらも利益にはならないが隠蔽しないほうが保身に叶うことになる。おそらくここまでの損得勘定を見抜いた上で、直親は政次がどうするか選んでいい、といったのである。それは直親にとっては保身を追求する政次の父のようなやり方を、政次は支持しないだろうという意味での信頼はあったのかもしれない。けれど政次にとってそれは信頼という温かいものではなく、本当に井伊家のために尽くす気があるのか試してやるという冷徹な視線のように感じたことだろう。

  そして政次は隠蔽することにし、井伊家の信頼をとりあえず保つことに成功したが、隠し里の指出をずっと懐に隠し持っていた。それは、もし隠し里のことが判明した場合速やかに指出を検地奉行に差し出し、最小限の被害に止めようという、これもおそらく保身故の行動であったと思う。実際、検地奉行に隠し里が見つかってしまった時、政次は進んで指出を差し出そうとしたが、直親の政次に責任を押し付ける言葉に引き止められ、 思いとどまることになる。(直親はやはり政次を信用していなかったのだろうか。だから脅すようなことを言ってしまうのか。どうなんだろう。)それにはもしかしたらおとわの嘆願も影響したかもしれない。

  そういうふうに考えてみると、政次の心のうちは見た目よりも追い詰められていたのかもしれない。おとわに対して、直親の影を、直親を想う気持ちを感じて我慢できなくなって、もっと自分のことを考えろという気持ちになって暴言を吐いたのかもしれないな、と思う。幼い頃からおとわを大事に思ってきていたから。政次がもっと大事にされる場面が来ますように。