うさぎとファンタジー

ばらばらな思いを整理する雑記帳。

おんな城主直虎(2)崖っぷちの姫

2017・01・15放送

 

キャスト

  • 村のはみ出し者(ムロツヨシ)…あばら家に住む汚い男。金が欲しい。なんでも、隣の村と対立した時など事態を収めるために差し出される目的で養われているらしい。そんなことがあるのかと、驚きを感じる。

 

あらすじ

  去りゆく亀之丞に最後会うことができたおとわは、亀之丞が「必ず帰ってくる」と約束したことに答えて、「待っておる」と告げる。亀之丞が追っ手に捕まらないように身代わりになって捕まるおとわ。結局処罰を受ける前に両親に気づかれことなきを得るが、母にはひどく叱られる。

  亀之丞探しを諦めた今川家は、小野政直を通じて下知を出す。いわく、「小野和泉守政直を新たなお目付役に任じる。」「おとわは小野和泉守の息子である鶴丸と娶せる。」というもの。これには、井伊家の家臣たちの怒りも爆発で、その場は騒然とする。

  おとわに亀之丞を諦めさせ、鶴丸と夫婦約束をさせようと説得を重ねる両親だったが、おとわの決意は固く、新たに鶴丸と夫婦約束をする話には頑として頷かない。ご初代さま(井伊家先祖)が赤ん坊の時捨てられていた伝説の枯れ井戸のところでおとわが思案していると鶴丸が通りかかる。逃げようとする鶴丸から、鶴丸の父親が亀之丞の父親の謀反を今川家に告げ口したという話を聞き、ショックを受けるおとわ。しかし逆に鶴丸の両肩を掴み、「それは鶴丸の父がしたことであって鶴丸のしたことではない。鶴丸を恨むのは筋違い」と力強く語りかける。

  その夜おとわは家出をし、村のはみ出し者(ムロツヨシ)のところでわらにくるまって寝かせてもらう。その一帯大騒ぎでおとわ誘拐犯を探す井伊家だが、村のはみ出し者が礼金目当てにおとわを突き出し、おとわは無事帰宅する。しかし家出の真意を問われ、もし自分が鶴と結婚していたら戻ってきた亀がかわいそうだと泣きじゃくるおとわ。

  その後おとわは他にも方法があるのではないかと両親を責めたため、納戸のようなところに閉じ込められてしまうが、ずっと鶴丸と夫婦約束をしないで済むためにはどのような方法があるだろうかと考え続けていた。そして侍女の悲鳴を聞き駆けつけた井伊当主は、髪を自分で短く切っている娘を発見するのであった…。

 

感想

  …あらすじ長かったかな。

  書いてみると鶴丸が不憫で浮かばれない。本当に。おとわは亀之丞との約束を守りたい一心なだけだけど、ものすごく鶴丸を嫌ってるみたいな態度じゃないか。

  インパクト大の村のはみ出し者(ムロツヨシ)!なんだかかわいそうになる登場の仕方だし、ものすごく薄汚れてて口の中まで汚そうだったしピッカピカのお姫様と並ぶと違和感半端なかった。本当に犯罪者と思ったお父さんを責められない。

  基本的におとわ目線だけど、鶴丸はどう思ったかなあと考えてしまう。「自分と結婚するのはそんなに嫌なのか!?」ってショックを受けてないかな。いや、もちろん賢いからおとわがどう思うのかわかってて、鶴丸はお父さんに夫婦約束はしないっていうんだろうけれど。

  あとはおとわの侍女が悲鳴をあげるシーンが二回もあって、すごいこの人寿命縮みそうって感じのギョッとするような悲鳴を響かせるので、ある意味おもしろかった。血相を変えて叫ぶシーンが目立つ侍女さん(笑)

  おとわはほんとに亀之丞が好きなんだなあって、「亀がかわいそうではないかああああ」って泣く場面で思った。その後の場面でも頰に泣いた跡が残ってて芸が細かかった。いや、感情が高ぶってしまって親に強く当たってしまうという感じで納得。あと髪を適当に剃ろうとして側頭部から出血してる部分があって痛そうだった。

  いい加減な和尚さん、出番は少ないけど好きだなあ。今後も重要な役になりそう。

おんな城主直虎(1)井伊谷の少女

2017/01/08放送

 

天文13年(1544)、遠江国(とおとうみ)井伊谷が舞台。

キャスト

  • おとわ(子役・新井美羽←ミウ)…主人公。女の子だが、元気一杯の男の子のようないたずらっ子で常に冒険心を持っている。
  • 亀之丞(子役・藤本哉汰←カナタ)…体は弱いが意思は強く、一人前になりたいと渇望する少年。おとわと一時的に婚約関係になる。笛が上手。
  • 鶴丸(子役・小林颯←カイ)…頭が良く、あまり無邪気になれず距離をとって観察してしまう少年。おとわのことが好きかもしれない。
  • 井伊直盛杉本哲太)…おとわの父親にして井伊家当主。男の子が生まれず、おとわを息子のように育ててしまう。
  • 井伊千賀(財前直美)…おとわの母親。非常に説得がうまい。
  • 井伊直満宇梶剛士)…亀之丞の父親で、直盛のおじ。今川家による支配に強い反感を抱いている。右目を先の今川との戦でなくしている。
  • 小野政直吹越満)…鶴丸の父親で井伊家筆頭家老。非常に切れもので、かつ、今川家に傾倒しているが、心酔しているかはわからない。
  • 南渓和尚小林薫)…いつも不真面目な態度で隠れて飲酒をしていたりと、問題の多い和尚だが時に鋭い意見を言うことも。基本的に面倒見がいい。

 

  子役の名前が読めなくて苦労したよー。

 

あらすじ

  遠江国井伊谷は、古くから井伊家によって治められていたが、戦国の世の中においては今川家にかなわず、その軍門に下っていた。それに反感を抱いている家臣がまだ大勢おり、今川家との軋轢が潜在的には残っていた。

  井伊家の当主直盛には男児がおらず、未だ幼少のおとわにいずれ婿を迎えることが決まっていたが、家臣の中でも意見が割れ、今川から婿を迎えようという意見と、井伊家家臣の中から婿を出し結束を高めようという意見が水面下で戦っていた。

  おとわは男の子のように育ち、いずれは父の後を継いで井伊家当主になると思い込んでいた。幼馴染の亀之丞と鶴丸と一緒に野山を駆け回る日々を送っていたが、ある日亀之丞と婚約することが決まったと聞いて、父親に直談判に赴く。母親に説得され、女の子らしくいることを決意するも、行動は今までのように周りを振り回すやんちゃっぷりのままであった。

  勉強を教わっている龍潭寺の和尚にこっそりと人助けをする竜宮小僧の逸話を知り、竜宮小僧探しに熱中するおとわと、付き合わされる幼馴染たち。ひょんな事から、僧の死体を発見してしまう。その僧は井伊直満の屋敷で目撃されており、実は直満の今川家に対する裏切りの書面を携えていたため、それを知っていた何者か(おそらく小野政直?)の手のものによって殺され書面を奪われたのだった。

  僧の死体について井伊家当主が確認し慌ただしくなる中、今川家から使者が訪れ、駿府に呼び出されていた直満の首が箱に入れられて届けられた。謀反の疑いで処刑されたのだった。今川家の使者は、直満の息子である亀之丞の首も差し出せと強硬姿勢だが、今川家家臣や直満の父で直盛の祖父の直平(前田吟)の強い反対によって亀之丞はどこかへと逃がされる。

 

感想

  とってもとっても乙女ゲーム序章のような始まり方で胸をときめかせてくれる。すばらしい。おとわの少年のような振る舞い方もGOODだし、病弱だけど芯の強い幼馴染、遠くから二人を見つめる寂しげな幼馴染、すごくいい三角関係?で期待が持てる始まり方。子役の演技も自然で、特に鶴丸はのちに高橋一生になるのがぴったりの似た顔立ちに大人びた雰囲気。

  今回はおとわと亀之丞の淡い両想いが描かれて、しかも引き裂かれるという悲劇的な始まりだった。最後の会話で、亀之丞が自分じゃ頼りないだろうと自信のないところを見せると、おとわが亀之丞には他にもいいところがいっぱいあるし、私が亀之丞の代わりに戦場へも行って見せると豪語するところは本当に想いを感じたし、亀之丞が「私の竜宮小僧になってくれるのか」とおとわに尋ねるのは武家らしくない風流な例えで、やっぱり亀之丞が心優しい少年だなあと感心した。それに父親を亡くしてたった一人になったばかりで気丈だなあと。

  今後は鶴丸がどう絡んでくるのかなー?

 

ブリッジオブスパイ 2015年アメリカ

監督  スティーヴン・スピルバーグ

脚本  マット・チャーマン ,イーサン・コーエンジョエル・コーエン

キャスト

○ジェームズ・ドノヴァン(トム・ハンクス

  ブルックリンでそこそこ大きな法律事務所を共同経営する顔の怖い弁護士。以前ニュルンベルク裁判で検察側をやってたらしいが、それ以降刑事事件を担当したことはない。専門は保険会社を依頼人として保険金の支払いを拒否したり減額すること。妻と可愛い子供達(長女、長男、次女)がいて、かなり大きなお屋敷でくらしている。すごく法律の精神みたいなものを愛していて、信念がある。

○ルドルフ・アベル(マーク・ライランス)

  ドイツ系ロシア人で、ソ連の諜報員でもある。安いアパートで一人暮らし、売れない画家という風情のおそらく60歳を越えた老人。若い頃からアメリカで諜報活動をしていたという。どんな状況に置かれても動揺せず、遠い祖国を大事に思っている。

 

あらすじ

  実話。タイトルの橋は、捕虜の交換が行われたグリーニッケ橋のこと。

  冷戦下、1957年、ブルックリンで諜報活動を行なっていたソ連のスパイ、ルドルフ・アベルがFBIに逮捕される。国際状況からすでに死刑は決まったも同然だったが、一応体面のために弁護士をつけることとなり、白羽の矢が立ったのがジェームズ・ドノヴァンだった。アベルとドノヴァンは少しずつ信頼関係を築いていく。ドノヴァンはなんとか死刑を回避しようと奔走し、成功する。

  一方、同じ頃、アメリカ軍の偵察機が上空からソ連軍の地表を撮影するため敵地に侵入、ソ連軍に撃墜される事件が起こり、搭乗していた米軍パイロット、フランシス・ゲイリー・パワーズ(オースティン・ストウェル)は捕虜になってしまう。パワーズは裁判で禁固10年の有罪判決を受ける。

  また、ベルリンで経済学を学んでいたアメリカ人大学生、フレデリック・プライヤー(ウィル・ロジャーズ)が東ベルリンから恋人を連れ出そうとしているのが見つかり、秘密警察に逮捕される。スパイと疑われている。

  ドノヴァンはCIAからソ連軍捕虜になったパワーズと、アベルを交換する交渉を依頼されるが、プライヤーの件を知り、どちらもアメリカに返したいと思い勝手に交渉を進める。東ドイツに行き、対ソ連、対東ドイツそれぞれに交渉を開始するも、様々な困難に直面する。

 

感想

  ドノヴァンの人柄のように真面目な映画。冗談を言うシーンが全くないし、スパイのアベルは表情がほとんど動かないスパイの鑑のような人物で、面白みはあまりない。ドノヴァンだって顔が怖すぎる。

  銃を打ち合うシーンは全くないけれども、情報の戦争と作中で言われていたように、またドノヴァンの息子が授業で核戦争を学んで家の浴室に閉じこもったり(シェルターのつもりらしい)、未だに戦争の脅威の元にある情勢がひしひしと伝わってくる緊張感が魅力的だった。

  また、ドノヴァンの正義の心はそんな情勢でも正しく法を執行すること、憲法を守り通すこと、に向けられていて、それを堅持することがアメリカの魂だという強い信念を感じさせてくれた。本当に、今の分断されたアメリカをドノヴァンは憂いているんじゃないかな、もし生きてたら。

  スパイ交換の話では、ソ連に捕まってるパワーズと、東ドイツに捕まってるプライヤーのどちらをも返還させようと狙うところが敏腕な感じがして、その綱渡りっぷりが胆力あるなあと感心した。特に小物の感じがした東ドイツの司法長官とのやりとりで、話の途中で司法長官が待っててとか言い出して中断して、その後補佐官みたいなのが「司法長官は出かけました」とか言いにくるけれど、あれは待たせる作戦だったんじゃないかな。そこをサクッと帰っちゃうドノヴァンさんかっこいい!しかもいい感じに「責任は司法長官が取ることになるんですよ…」みたいに伝言するところがいやらしい手口だけど、これは効くだろうな。実際効いたし。1時間も待たされてる間、どう対処するか考えてたのかなあ。すごいなあ。ドノヴァンって示談とかまとめるのうまそう。

  アベルの話だけれど、彼がなぜスパイになったのか、とか具体的にどんな活動をしてたのかが分からなくて、ちょっと飲み込めなかった。スパイなのは間違いないんだろうけど、売れない画家にしか見えないし。ただ、捕まってから誰にも心を開いてなかったアベルが、ドノヴァンにだけだんだんと心を開くようになっていって、彼を祖国の言葉で「不屈の男」と讃えるシーンはすごく良かった。ドノヴァンがずっと彼を画家として扱ってきたから、しかも祖国に忠誠を捧げるという意味でのある種の共感があったのかなと思う。最後、アベルは若い頃離れて以来戻っていない祖国に歓迎されるのだろうかと不安に感じていたし、それを見てドノヴァンも彼が祖国にどう扱われるのか気にかけていたところもまた、敵国のスパイとしてではないアベルを見ていて、そんな人はアメリカ中でドノヴァンだけだったかもしれない。アベルが最後に渡してくれる絵が、ドノヴァンの肖像画が、本物より何倍もカッコよく描かれてて、アベルから見たドノヴァンはまさにこんな英雄的人物だったんだな。

  スパイってすごく優秀な人材がなるのに、捕まる前に死ねとか言われるし、捕まったらなにか喋ったんじゃないかと疑われたり、なんかひどく理不尽だなと思った。アベルもパワーズもかわいそうだなって思った。

  ちなみにドノヴァンはその後、スパイを弁護したという汚名を、スパイ交換によるパワーズ奪還で見事に返上してみせましたというENDでした。オチがきれいでよかった。