うさぎとファンタジー

ばらばらな思いを整理する雑記帳。

おんな城主直虎(21)ぬしの名は

2017・5・28放送

 

キャスト

  •  中村与太夫(本田博太郎)…商人の町、気賀で町衆の元締め的存在の商人。

 

あらすじ

  お忍びで気賀へやってきた直虎は、綿布を売る取引先を見つけるために、早速町の権力者である商人・中村与太夫の元を訪ねた。気賀は全国各地と取引をしていて、外国との取引もあるということを知る直虎。気賀を見物していると、浮浪者のような少年に財布を盗まれてしまう。すぐ気づき追いかける直虎を、六左や方久は見失ってしまう。アジトらしきところへ戻った少年に直虎が追いついたところで、背後から現れた別の大人の男に殴られ直虎は昏倒した。

  直虎は縛られ蔵に入れられたが、そのアジトは以前直虎が牢に入れた謎の男がかしらをやっている組織で、謎の男をはじめメンバーにからかわれてムキになる直虎。その夜、殺してしまうのがいいと進言する手下に対して、俺の女にしようかなど冗談を言うかしら(謎の男)。一方、中村屋を通じて捜索させ、翌朝一旦井伊谷へ帰った六左は、屋敷に主だったメンバーを集め、報告していた。そこに方久が急ぎ戻ってきて、中村屋に脅迫状が届いたと知らせてきた。領主と引き換えに金百貫を用意し、指定の場所へ持って来い、応じる印に中村屋の前に赤い旗を立てよ、と言うものであった。そんな要求に応じてはならぬと激昂する之の字に対し、政次は応じるふりだけして受け取りにきた手下を捉えれば良いと進言する。

  その夜直虎は少しずつ箱を動かして落下させ、ナイフを手に入れる。そして縄を解き、居合わせたのであろう子供を人質にとって解放せよと言ったが、かしらは慌てず騒がずどうぞ殺せよといい、動揺した隙をついて子供は自ら逃げ出し、直虎はまた捕らえられた。どうしてこんな盗賊をやるのかと聞く直虎に、逆にかしらは領主など盗人と同じだと言い返してきた。

  次の日の朝、六左と之の字は少しの手勢を率いて、指定された場所へ向かったが、ひどい斜面と悪路で馬を降りなければならなくなる。直虎は指定の場所で柱に縛られた状態で、かしらと「領主は泥棒か」と言う議論を交わした。井伊の領主であると言う基礎が揺らぐような議論に動揺する直虎。六左と之の字は指定の建物に突入するが、そこには吹き矢で眠らされた直虎がいるだけで、他には誰もいない。之の字はそこで気づく。「奴らの狙いは馬か!」かしらと手下たちはその頃まんまと馬を3頭手に入れようとしていたが、そこへ飛んでくる矢に驚き、即座に逃げ出した。矢を放ったのは龍潭寺傑山であった(おそらく政次に依頼されていた)。

  夜更けまで龍潭寺で知らせを待っていたらしい政次は、直虎が無事帰ってくると聞き、厳しい顔を少しだけ緩めて屋敷へ去った。南渓和尚はその後ろ姿を心配そうに見送った。

  翌日、直虎は高瀬の心配と母祐椿尼の叱責を聞きながら世話を焼かれた。盗賊へ追っ手をかけないという直虎の決定に之の字は反発したが、直虎の反省ぶりに矛を収めた。生活は元に戻ったが、直虎の心には泥棒呼ばわりされた記憶がしっかりと残っていた。試しに高瀬に聞いてみると、やはり武家に奪われていると思わないものはいないだろうと言うし、祐椿尼も武家だって土地を奪わないと部下へやる褒美が手に入らないからまた戦をすると言う話をしてきて、やはりこの世は奪い合うことでしかやっていけないのかと直虎は呟く。

  方久が直虎に材木を切り出して売ったらどうかといい出して、直虎はあることを思い立ち、中村屋を通じてかしらに手紙を書いて呼び出し、一対一で話し合いを持った。そして、井伊の土地の材木を切り出す仕事を盗賊一味に任せることになった。(井伊7割、盗賊3割の取り分で)そして、聞き出したかしらの名前は、龍雲丸と言った。

  しかし之の字に龍雲丸を発見されてしまい…。

 

台詞

  •  (なぜ自分が泥棒呼ばわりされるのかと怒る直虎に対して)謎の男「ガキでも分かる話でさあ。百姓の作ったもん召し上げてんじゃねえか」直虎「年貢を取るのは井伊の土地だからじゃ。井伊の土地を貸しておるからじゃ」謎の男「なんであそこはあんたの土地なんだ」直虎「…え?」謎の男「なんであそこは井伊のものになってるんだよ」直虎「…井伊が鎌倉の公方様よりあの土地を任されておるからじゃ!」謎の男「だからそれが泥棒の始まりじゃろ。あんたの先祖に、やたら喧嘩が強いか調子のいいやつがいて、こっからここまで俺らの土地なって勝手に分捕っただけじゃねえか。武家なんて奴は泥棒も泥棒、何代も続いた由緒正しい大泥棒じゃねえか!」直虎「…」謎の男「俺らは武家かそこに群がってる奴らからしか盗まねえ。つまり、泥棒から泥棒仕返してるってだけだ。あんたらに比べたら、俺らなんて可愛いものだ」
  • (かしらに対して)直虎「幼い頃、我はカブを盗んだことがある。寺に入ったばかりの頃、寺の食事に耐えられず、ひもじくてな。追い詰められれば人は盗む。百姓に生まれようが武家に生れようが、人とはそう言うものじゃ。故に、我もそなたも等しく、卑しい。一人の人としてな。だが、それは幸いなことなのか。人として生まれ、卑しいことをせねばならんのは、幸いなことだと思うか。世を拗ね、泥棒を大義と嘯きつつも、つまるところは暗がりに隠れ住む、それでいいのかと聞いておる」立ち去ろうとするかしら。直虎「逃げるな!我も逃げずにお主の言葉を考えた。ならばお主も受け止めるのが人の道ではないのか!」戻ってくるかしら。直虎「人は卑しい。それは生きる力の裏返しでもあろう。なれど、卑しくなければ生きていけぬと言うのは幸いなことでは決してない!ならば、せねばならぬことは、卑しさをむき出しにせずともすむような世にすることではないのか」かしら「世!?」直虎「そうであろう?奪い合ってしか生きられない世に一矢報いたいと言うのであれば、奪い合わずとも生きられる世を作り出せば良いではないか!」(中略)「お主に言われ、確かに武家は泥棒かもしれぬと思うた。だが我はそれを認めるのはごめんじゃ。ならば、泥棒と呼ばれぬ行いをするしかないではないか。つまるところは己のためじゃ」

 

感想

  領主は泥棒か?

  このテーマは斬新だと思った。身分制が絶対だった時代、領主とか、武家とかは「そう言う仕組み」として平民にも受け入れられていたはずで、それ自体を批判するなんて発想はあほらしいと言われても仕方ないものだと思う。だから多分龍雲丸も、心の奥で思ってたかもしれないけど、口にしたことはなかったんじゃないかなと思った。多分、直虎があんまり真剣に応じてくれるので、モヤモヤした気持ちを吐き出したらああ言う話になったのかなって思った。武家を批判しながら一方でそれと同列に思っているはずの同じ泥棒行為をするって矛盾しているし。

  龍雲丸も、直虎の勢いと熱意にやられた一人になったかー。うさんくさくて盗賊っぽい彼が、更生して行く姿は見られるのでしょうか。それより先に臣下が黙っていないと思うけど(笑)

  龍雲丸には、あんまりときめかないのが難点かなあ。

  心配しているけど顔に出さない政次にときめいた!

 

おんな城主直虎(20)第三の女

2017・5・21放送

 

キャスト

  • 高瀬(髙橋ひかる)…直親の娘を名乗って井伊谷にやってきた少女。素直で働き者。

 

あらすじ

  突然現れた直親の娘を名乗る少女の存在に、慌てふためく直虎。あの直親に隠し子がいるなど、想像することもできず硬直するばかり。みすぼらしい格好で高瀬と名乗った少女は年の頃十四ほど、ゆきという母親を亡くした折に父親は亀之丞という名前だと聞かされて、それを頼りに井伊谷までやってきたそうである。亀之丞は死んだと伝えると、高瀬という少女はどこかへ去ろうとしたので、行く場所もなかろうと不憫になった直虎はとっさに引き止めてしばらく屋敷にいるように言ってしまう。

  直虎は「当主として」直親の娘であるなら確かめなければと、幼少の亀之丞を預かっていた家へ尋ねてみてほしいと南渓和尚にいうが、周囲の人は直虎の気持ちを気遣って腫れ物に触るような態度である。虎松から話を聞いて飛んできたしのなど、直虎を不憫がって泣いてしまったほどである。しかし当主として無理をして気丈に振る舞う直虎は、娘が増えれば調略にも使えるし、気にしていないと一蹴する。之の字や六左が恐々ともし本当に娘なら井伊家に連ねるべきだと進言すると、元からそのつもりだと呆れたように返す直虎。しかし政次は武田の領地からやってきた高瀬は武田の密偵ではないかと疑いを向ける。今川と武田が争うかもしれない今、武田の密偵がやってきてもなんの不思議もないし、あの年頃になれば十分働けるというのだ。

  そのころ今川からの譲歩を伝える手紙を受け取った松平家は、今後どうするか悩ましい状況に置かれていた。

  南渓和尚の元に亀之丞の過去の様子を知らせる文が届いた。ゆきという女は実在し、亀之丞と二人きりになっているのを見たものもいるが、子を成したかどうかはわからないということだった。もっと詳しい情報はないかと食い下がる直虎に、南渓和尚は自分が不義の子であるという冗談(?)を言うまでして、子供の父親など確かめようがないと説いた。

  間者であったとして、それでも受け入れると言う選択肢はあるかと聞く直虎に、政次は「(間者であることにしてしまえば)追い出したとしても格好がつくと言うているのだ」と優しく、かつ突き放すように返した。しかしその時、懐かしい、懐かしい、亀之丞の笛のメロディが廊下から聞こえてきたのだ。歌っていたのは床掃除をしていた高瀬で、彼女は母がよく口ずさんでいたもので、とだけ言った。直虎は、心を決めた。

  井伊家の姫として高瀬を迎えるためお披露目会を開くことになったことを聞いたしのが、ご初代様の井戸に向かうと、そこには落ち込んだ様子の直虎がいた。強がる様子の直虎に、しのは慰めの言葉をかける。すると突如として直虎は憤りの表情を見せ、いままで直親がどんなに優しく情熱的な言葉をかけてくれたか、そしてそれが偽りであったことを熱弁し、しのも共感して直親への怒りをぶちまけた。最終的に直虎はご初代様の井戸を覗き込み、「卑怯者!先に逝ってしまいおって!これでは恨み言も言えぬではないか!」と罵ると、しのも同じく井戸に向かって声を荒げた。そして、直親が悔しがるくらい立派な女子に高瀬を育て上げてみせると直虎が言うと、しのも同意した。二人で少し笑みをかわし、その声はすぐに泣き声に変わった。

  高瀬は直親の娘と認められて嬉しがったが、同時に直虎に向かって母のことを謝った。直虎は肩に手を置いて頭を上げさせ、「そなたは直親の娘で、これからは我の娘じゃ」と微笑んだ。

  高瀬を姫と認めるお披露目会が設けられ、皆で宴をして楽しんだ。虎松は急に現れた姉に対してぎこちない態度であったが、直虎としのに促され挨拶を交わしていた。その様子を見て政次は、「死せる直親、生ける二人を結ぶ、か」と呟いた。

   後で南渓和尚に直虎が愚痴を言っていると、南渓和尚は昔の直虎(おとわ)と高瀬の共通点を挙げ、高瀬の母君は昔の直虎(おとわ)に似ていたのではないかと示唆した。

  松平の、常慶という山伏が南渓和尚を訪ねてきて、現在の状況はすべては織田が操っていて、武田は織田と同盟し、松平は織田の臣下も同然と教えてくれた。武田は今川家の嫁を持つ嫡男を廃嫡し、四男勝頼を後継にして織田から嫁をもらうという話だった。これでは今川は、武田に対抗して松平と手を組むこともできないという結論である。

  そして新年、政次は駿府へ挨拶に行き、今川氏真はその席で「武田を絶対に海には通さぬ」と憎しみのこもった眼差しで断言した。また、瀬戸方久が進めていた火縄銃開発は駿府の商人に奪われてしまった。そして井伊谷に帰ってくると、「これからは気賀の時代よ」と叫び、商人の治める街・気賀に直虎を連れて行った。

 

台詞

  • (直虎に対して)しの「おいたわしや、直虎様。私とは結ばれるずっと前のことなれど、直虎様にすれば…。直虎様はご出家までされたのに、その間に直親様は、どこぞの女子とよろしゅうなされておったということにございましょう。直虎様が厳しいご修行中に、どこぞの女子の前でも笛を吹き、甘ったるいお言葉をかけられ、子まで成し…」
  • (直虎に対して)南渓和尚「表向きはそうなっておるがの、わしは母の不義の子じゃ。おおじじ様は最後までご存知なかったがの。あまりにも申し訳がないゆえ、まかり間違っても井伊を継ぐことだけはあってはならぬと、母がの、様々な理由をつけてわしを寺に放り込んでしまったのじゃ。…ありゃ、信じんかったか」
  • (直虎に対して)しの「実は私、ずっと感じてはおったのですが…、直親様は己が清しく見えることを明らかにしておられ、そしてそれを自在に使っているのではないかと」直虎「しの殿も感じておられたか!」(中略)しの「なんという二枚舌!おのれ、スケコマシが!」直虎「…スケコマシ?」しの「スケコマシにございましょう!?我らはともに、見事にスケコマされたということにございましょう!?」

 

感想

  直虎としのの意気投合ぶりに爆笑した。これまでひどく遠く、場合によっては敵対してきた二人が、ここまで意気投合するとは全く思ってもみなかったので、予想外にうまく行ってよかった。しのが怒っているのがすごく伝わってきて、しのがかわいいなあとしみじみした。しかしスケコマシとは…直親の今までの美しい思い出が(笑)

  直親は死んでしまっていて、真相を問い詰めることも裏切り者と詰ることもできない虚しさに、ふと涙がこぼれてしまう、あのシーンはすごくよかったと思う。傷ついた直虎の心に寄り添ってあげられたのがしのというのも、巡り合わせなのかな、と。

  これからは激動の戦国時代へと突き進んでいくのでしょうか?

 

 

おんな城主直虎(19)罪と罰

2017・5・14放送

 

あらすじ

  直虎の元に瀬戸村の村民が収穫した綿を持ってきて、布を作ってみたいというので直虎は応援する。瀬戸方久駿府に入り浸っていることに不満を抱く之の字を宥める直虎。政次と和解したことは之の字にも知らせていないことなので、表向きは以前のように警戒する姿勢を崩さない。

  近くの国衆で井伊の目付でもある近藤康用が突然訪ねてきて、井伊のものが自分の領地で木を盗んだので盗人を引き渡して欲しいという。新しくやってきた村人が怪しいと指摘する近藤康用に、盗みを働く者などいないと反論する直虎。両者とも家来を引き連れて山狩りをすることになる。すると、近藤康用の領地も井伊の領地も、木を切り倒されて持ち去られていた。

  その時政次と方久は駿府で、今川氏真に火縄銃がまだ完成しないことを責められていた。寿桂尼が元気に歩く姿を目撃しほっとする政次。

  山狩りに直虎が加勢していた時、近藤康用の家来たちが山賊と思われる者たちと交戦、加勢した之の字と傑山が木の上にいた一人を捕らえたが、それは井伊のものではなく、直虎が二度ほど会話をした流れ者であった。その場で近藤康用に斬られそうになる彼を、井伊で処断したいと言って直虎が引き受けることとなる。屋外にポツンとある倉庫のような牢屋に入れられる流れ者の男。之の字は知り合いだろうと盗人は死罪と決まっていると言うが、彼に恩を感じる直虎はなんとか死罪を免れさせようと考える。

  政次が井伊に戻ってその話を聞き、死罪が妥当というと、直虎は意地を張って死罪にはせぬと言い張る。六左から理由を聞き出した政次は南渓和尚を利用して直虎を呼び出すと、民を守るために盗人は死罪にしなければいけないと説くが、直虎は聞き入れず、タダ働きさせるのはどうかと言い出す。説得を諦めた政次は、今川が武田と戦うために松平と和睦を結ぶかもしれない、そうすれば井伊も武田と戦うことになるかもしれないと懸念を伝える。武田と上杉が未だに戦っていること、三国同盟のもう一国である北条の出方などについて、直虎は頭を悩ませる。

  流れ者の男は、傑山から直虎のことを教えてもらうと、そこまでして家を守るのかとすこし呆れた様子であった。傑山に明日死ぬかもしれないのにどうして落ち着いているのか問われると、流れ者の男はこんな生き方をしていれば覚悟はしていると笑うだけであった。

  その夜政次は之の字の家を訪ね、内密に近藤康用に流れ者の男を引き渡してしまおうと画策するが、その話し合いが之の字の弟に聞かれていて、直虎に知られてしまう。直虎は政次の家へ押しかけ、血を流すことがどれだけ無益かを言って聞かせるが、政次は虎松や村の民が害されたらどうすると言い返し、二人は睨み合う。そこへ、之の字があの流れ者の男が牢から逃げたと言ってくる。見張りの六左は吹き矢で眠らされ、床には大穴が開いていてそこから脱出したらしく、おそらく仲間が手伝ったようだ。直虎は激怒して次会ったら殺してやると声を荒げる。逃げられたと聞いて怒る近藤康用は政次が宥めた。

  武田から、嫡男義信を廃嫡し、今川家の姫とは離縁すると言う文が、今川氏真に届いた。恩知らずめと大騒ぎをする氏政だが、寿桂尼は冷静に松平と手を組むことを提案するのであった。

  井伊では、祐椿尼が直虎に大変なことを告げていた。直親の娘を名乗るものが寺にやってきたと言うのである。

 

感想

  柳楽優弥(やぎらゆうや)くん演じる流れ者の男に、焦点を当てるかと思いきや、あんまり当たらないお話だった。いや、柳楽優弥くんは山賊だし小汚い格好をしてるし、まだまだ脇役っぽいからそれは別に問題ないけど、まさか名前までわからないとは思わなかった。死罪死罪って言うけど取り調べも何もしないとは…ちょっと決めつけすぎじゃないかと思ったけども。

  それより政次が直虎の腕を掴んだり、羽交い締めにしたり、ちょっと接触が多くてさり気ない感じにドキドキかな。

  メインは武田の動きなのかもしれないけど、まだ信玄公の顔もわからない。続きが気になります。

 

おんな城主直虎(18)あるいは裏切りという名の鶴

2017・5・7放送

あらすじ

  種子島という名前の火縄銃を生産しようとしていたのを政次に発見され、謀反の疑いをかけられる直虎。之の字は怒り、政次を斬り殺そうとするのを直虎は止める。後見を自ら降りれば種子島のことを今川に讒言しないと政次に約束させ、直虎は虎松の後見を降りるために政次と之の字とともに駿府へ向かった。置いていかれた銃を前に、方久は金の心配ばかりするので、六左が怒る。六左が祐椿尼と南渓和尚に事情を話している間に、方久はゼニの匂いがすると言って出て行ってしまう。

  直虎は最後の頼みの綱として寿桂尼に会おうと画策するが、病に倒れて以降寿桂尼は寝込んでいて面会謝絶の状態であった。

  先に、今川氏真に目どおりを願ったのは、なんと方久であった。火縄銃を生産したいと思い作らせていたが、直虎に金は出せぬと断られたので、氏真が火縄銃生産に金を出してくれないかと申し出たのである。火縄銃が手元で生産できるという話に氏真は飛びつき、方久は種子島を生産できる当てが見つかった上に、直虎の謀反を疑わせる材料を取り除いたのである。それを聞いた直虎はほっとして涙をにじませて笑った。

  政次が方久が勝手に目どおりしたことを氏政に詫びていると急使が飛び込んでくる。その様子に一旦下がったふりをしながら盗み聞きをする政次。なんと武田信玄が息子の義信を謀反の疑いで幽閉したというのだ。義信に嫁いだ氏真の妹が、武田と今川の同盟の絆であったので、今川家にとっても一大事であった。同じ時、寿桂尼の危篤が伝えられる。手を握る氏真の必死の呼びかけに答えるように、寿桂尼の意識が回復する。この難局を乗り切れるのは信玄にも影響力を持つ寿桂尼だけであった。

  今まさに、今川の力が弱まり、北の武田、東の北条との同盟関係が崩れようとしていた。さらには松平の力が増し、大国に囲まれた井伊の舵取りは一層難しくなっていた。

  井伊の屋敷に帰って考え込み、なつに心配される政次。なつに土産の菓子を渡し、寂しかろうと気遣う。

  南渓和尚に次第を説明し、自分の力不足を嘆く直虎。自信喪失気味の直虎に、南渓和尚兵法書を大量に持ってくる。これを読むと政次の考えが分かるかと問う直虎に、そうかもしれぬと頷く南渓和尚。それから兵法書を読みふける直虎であったが、あまり頭に入らない様子。

  なつが祐椿尼と直虎を訪ねて来たときに、政次の話になった。どうして小野の屋敷に戻ったのかという質問に、井伊のみなとの間を取り持つためだと答えるなつ。さらには、政次のことを気遣ってくれる優しい人だと評するので、直虎は驚いてしまう。なつが帰った後、祐椿尼は政次が結婚しようとしないことが不思議だとこぼす。自分の家を大きくしないにもかかわらず、乗っ取りを企むような執着はどこからくるのかと。直虎はなつの言葉に、優しかった昔の鶴を思い返していた。

  その夜直虎は「敵を欺くにはまず味方から」という言葉に触れ、ふとしたことから政次の思惑に思い至る。その勢いでもう寝静まっていた寺に押しかけ、南渓和尚を叩き起こす。政次の思惑とは、直虎も虎松も首をはねられることなく、直虎を後見から降ろし、自らが矢面に立とうとする策略だったのではないかと。そもそも直親を裏切ったところから、井伊を守ろうとしていたのではないかと。南渓和尚は同じことを言っていた死ぬ直前の直親を思い返しながら、そうであったらいいと思うが自分は政次ではないからわからないという。直虎は政次の思いを汲みたいとおもうと言った上で、政次は一つだけ間違っているという。

  政次はご初代様の井戸で、直親に向けて一人話していた。そこへ直虎がやってきて、気まずそうな顔をしながら政次の袖を掴んでひきとめ、話そうという。敵も味方も欺いた上で守るという兵法の話を持ち出すと、挙動不審になる政次。種子島という銃も失って、これからどうやって井伊を守っていったらいいかと問う直虎。黙りこくる政次に、直虎は自分自身でこの道を選んだこと、自分をかばわなくて良いことを切々と訴える。しばらくして、返事が返る。戦わぬ道を探るという政次。力のない井伊が乱世を生き延びるにはそれしかないという政次に、まっすぐに同意する直虎。そして、政次は武田義信が父信玄に幽閉された話をする。今川と武田の戦もあるかもしれないと。武田と松平の動きに目を配っておきたいという話を共有する直虎と政次。

  直虎が南渓和尚に相談すると、松下常慶はどうかと以前顔を合わせたことのある山伏を紹介される。常慶の秋葉神社(?)は武田にほど近く、彼自身は松平に出入りしており、松下家は今川の家臣であるという。南渓和尚に松平への恨みはもういいのかと問われると、恨みを後生大事に抱えておく贅沢は私には許されないと答える直虎。

  之の字に、「百戦百勝、善の善なるにあらず。戦わずして敵を屈することこそ、最上の勝ち」という言葉を披露し、このように目指すと言うと、之の字は笑って受け入れてくれた。

 

台詞

  • (直虎に対して)南渓和尚「お前の良さを殺してしまう気もしてのお。お前の良さは、諦めの悪さと、生まれついての型にはまらぬ考え方であるゆえな」
  • (直虎に対して)なつ「義兄(政次)は、夜道を密かに照らしてくれる、秋の月のようなお方にございます」なつ「直虎様、お立場として義兄と相容れぬことは致し方ございません。なれど、どうか、それが義兄のすべてであるとは思わないでくださいませ」
  • (直虎に対して)南渓和尚「もし仮にそうだとして、お主はどうするのじゃ。その想いにどう応えるのじゃ。直虎よ、仲良しごっこをしていては、政次が積み上げて来た策は水の泡となるだけぞ」
  • (政次に対して)直虎「誰よりも深く、井伊を守る策を考えているのはそなたであるからじゃ。だってそうであろう。そなたは井伊を手に入れることを考えてきたわけじゃ。手に入れればここはそなたの土地、必然守らねばならぬ。そなたのことじゃ、つけいる隙もないほど緻密な、まこといやらしい策を練り上げているのじゃろう。ならば、それを聞いてみたいとおもうのは当たり前のことであろう」直虎「政次、我は己で選んだのじゃ。この身を、直親の現し身とすることを。誰に望まれるでもなく、強いられるでもなく、己で選んだ。己の手で井伊を守ると、我は己で決めたのじゃ。ゆえにもし、我が女子であるから守ってやらねばならぬとか、辛い思いをせぬようにと考えておるなら、お門違い。無用の情けじゃ。我をうまく使え。我もそなたを、うまく使う。」
  • (直虎に対して)政次「私なら、戦わぬ道を探ります。戦に戦わずして勝つ、もしくは戦わずに済むように死力を尽くす。周りの思惑や動きにいやらしく目を配り、卑怯者臆病者よとの誹りを受けようと断固として戦いませぬ。それが、大国に挟まれた小さき井伊が生き延びる唯一の道かと考えます」
  • (直虎に対して)之の字「(直虎を揶揄して)“やってみねばわからぬ”!お止めしたところで、殿はそう言うお方ですから。ならば、それがしはしくじった時の備えをしておきます」

 

感想

  やはり、そうであったか!と膝を打つような政次の思惑が明らかになった。政次は守るべき対象として直虎を捉えていたがゆえに、後見の座から降ろして背にかばおうとしていたのだ、と。そのために肝心の直虎に憎まれることも辞さないと言うのは、優しいだけではない、肝の座った策略家ぶりだとおもう。そもそも、直親が死んでしまった時点で自分が憎まれ役になるという覚悟はしていたのだとおもう。直親が死んでしまったのだから自分に振り向いて欲しいと期待していたら、このような策略は思いつかないとおもうし、そのようなことが目的なら今川の犬になってまで井伊を守ろうとなどしないとおもう。やはり肝心なのは井伊家、直親の子供を無事井伊家当主にすることで、それを為すには直虎では能力不足だと思っていたという可能性も少しあるとおもう。

  しかし直虎は予想に反して家臣たちの信頼を集めていったし、政次の策略を見破るところまで成長した。もちろん見守っていた南渓和尚や祐椿尼のおかげではあると思うけれど、とにかく自力で。そして自分は自分で望んでこの場所に立っているのだから、かばわなくて結構だと直接伝えることまでしてのける。政次もきっと舌を巻いたに違いない。

  これからは裏で政次と意見の調整をしながら、表には直虎が立って、井伊を守っていくのかなと考えたら感慨深いものがある。

  今川、武田、北条の同盟関係も今は風前の灯火だし、松平も勢力拡大中、どうやって戦わずして世を渡っていくのか、今後が気になる。氏真のお貴族様っぽいところと寿桂尼(おばあちゃん)に頼りきっているところがすごく子供っぽくて他人事としてはすこし微笑ましい。寿桂尼は結構好きなので、死ななくてよかった。

 

おんな城主直虎(17)消された種子島

2017・4・30放送

あらすじ

  之の字が瀬戸方久に取り寄せてもらった「種子島」という名前の火縄銃を、直虎へ自慢げに見せに来た。「筒口から、弾薬(たまぐすり)と弾を込め、火皿に口薬を詰め、一旦火蓋を閉じます。火縄を火挟に挟み、火蓋を切り、的に向うて狙いを定め」と言いながら的を撃った。直虎は妖術かと慌てふためくが、之の字は、武力の足りない井伊には誰でも扱える火縄銃は必要だと説得する。しかし一つ十貫であることから、金が足りないと直虎は渋い顔をする。方久も、弾薬などもたくさん必要で、それもまた値が張るから井伊には分不相応という意見である。しかし戦備えが不十分だと危急の時に井伊が滅ぼされるという之の字の主張に、直虎は井平(いだいら)という鍛治の村で種子島を作ることができるのではないかと微笑む。早速持ち込んでみると、職人はからくりの部分がうまく作れるかわからないといいながらも、やってみなければわからないと乗り気な様子であり、見本に本物の種子島を渡し、作ってもらうこととなった。

  政次は駿府へ挨拶に行き、今川氏真に倒れた寿桂尼の具合を尋ねる。直虎の後見を認めたのは寿桂尼なので、寿桂尼にもしものことがあったら覆ってしまうかもしれないと心配しているのであろうか。家へ帰っても考え事をする政次は、甥の亥之助から銃弾をわたされ、これは何かと尋ねられる。分からぬふりをする政次だが、もちろん火縄銃の弾であることはわかっていた。さっそく直虎へ会いに行くが、変わったことは虎松が手習いを始めたことくらいだとはぐらかされてしまう。

  直虎が寺に行くと、虎松が中野直久(之の字の弟)と囲碁五目並べをしているところだった。しかし対戦相手の直久に手加減され、横から見ている亥之助に助言されて、ようやく勝っている様子の虎松を見て、直虎はそれでは勝負になっておらぬ、手加減するなと怒ってしまう。すっかり怖がって落ち込んでしまう虎松。

  村では綿花が順調に成長し、新しくやって来た村民も馴染んで、鰯から作る肥やしの作り方などを教えてくれていた。三年荒野を聞きつけて村にはどんどん人がやってくるようになった。

  昊天が直虎を尋ねて来て、虎松が手習いに来なくなってしまったと教えてくる。直虎が手加減するなと言ったせいで、本当に手加減されなくなってしまった虎松は、一番年少なことも相まって、遊びも何も全く勝てなくなってしまったのだ。しのは手習いを家でやる形に変えてほしいと言ったようだが、直虎は後継がそのようにひ弱でどうすると怒って屋敷へ押しかける。しのの制止を振り切って虎松に詰め寄ると、虎松はその剣幕に泣き出してしまう。しのは、ならば跡継ぎを自分で産めば良いと暴言を吐き、虎松を匿うが、直虎はその虎松に向けて悔しくないのかと声をかける。

  その話を聞き、母祐椿尼の侍女のたけが、直虎の子ならば育てて見たいと冗談を言うと、直虎は跡継ぎは直親の子でなくてはならぬと声を荒げてしまう。

  直虎はある夜、井戸の近くで以前助言をくれた謎の男と再会する。南朝のさる巫女様が埋めた財宝を探していると嘯く男に以前忘れてしまった水筒を返してもらおうとしていると、一緒に行くかと誘われて断る直虎。尼として振舞いながら、手習いに来なくなった子がいると愚痴をこぼすと、謎の男は何かで勝てば楽しさがわかるようになるのではと助言をする。そして直虎はまた水筒を忘れた。

  夜遅く、直虎は虎松の部屋へ梯子をかけて直接訪ねた。膝を付き合わせて座ると、幼い頃の亀之丞の話を虎松に聞かせた。体が弱くとりえは笛だけだった亀之丞が、成長したら武芸も知識も頼れる青年になっていた。虎松はそれを聞いて、それは悔しかったから、自分はなんでもできないといけないのに、と言いながら泣いた。侵入者に気づいたしのが心配すると、虎松は勝ちたいと言ってさらに泣いた。そして必ず勝たせることを条件に、直虎が直接虎松を指導する許可を勝ち取ったのである。さっそく五目並べの特訓を始める直虎と虎松。

  そうして、再び亥之助と五目並べの勝負をすることになった虎松。亥之助は事前に政次に五目並べの秘訣「先手に利がある」を学んでいたため、自信満々に差し、あっという間に虎松を破ってしまう。しかし、虎松は泣き出したりせず、指を空に突き上げながら「亥之助、もう一度じゃ!」と言った。しのはその光景を見て、昊天に頭を下げてさらなる指導をお願いし、帰っていった。

  その後、急な知らせに直虎は呼び戻される。なんと、井平のものが駆けつけて言うには、見本のものも作っていたものも何者かに盗まれたと。すぐ井平へ向かおうとするが、その目の前に政次が現れて、種子島を差し出して来た。こんなものを作っているとは目付として見過ごせないと言う政次は、謀反を企んでいるのではと疑う視線を直虎と之の字に向ける。謀反ではないと之の字が主張しても疑う政次に一触即発の事態に陥ってしまう。そして、政次は助けて欲しければ自ら後見の座を降りよと直虎に言ってくるのである。

台詞

(直虎に対して)しの「ならば、跡継ぎにしていただかなくてもようございます。虎松は泣き虫で、できの悪い子でございますから、到底、ご立派なあなた様の跡継ぎになどなれますまい。左様に虎松にご不満なら、ご自分で、腹を痛めてお産みになってはいかがですか」

(虎松に対して)直虎「悔しくないのか。叶わぬからと尻尾を巻いてひきさがり、それで良いのか」

(たけに対して)直虎「さようなことが許されるわけなかろう。井伊は、井伊は、直親の子が継がねば!」

(あやめに対して)しの「(直虎に)取っていかれる気がするのです。虎松を。あの子は、直親様の血を継いでいるから」あやめ「直虎様は、母上にはなられませんよ。なられるとすれば、父上でしょう。なんだか父親のようではありませんか」

(直虎に対して)「かように脇の甘いそなたが、井伊を守りきれるとは到底思えん。おとなしく後見を降りられよ。それが井伊のため、そして御身のためだ」

感想

  なんだかタイトルとは裏腹に虎松の話が大半だった。虎松を演じる子役の子、本当に演技がうまくて、悔しそうな表情とか泣き出してしまうところとか真に迫っていると思った。いずれ虎松も亀之丞みたいな、強くはなくても思いやりがあって優しい、武家の跡継ぎとは思えないタイプの好青年に育って行くのかなあ。楽しみ。そして負けても諦めないでもう一回!と叫ぶのは、おとわのエピソードだから、なんだか懐かしくなってしまった。直虎が虎松に厳しくするのは、直親の跡継ぎを立派に育てたいからであって、確かに父親的な期待の表れなのかなと思うと、直虎としのでちょうどよく父親役と母親役ができることになる。

  種子島という名前の火縄銃、おもしろいなあ。しかし、試し撃ちを之の字本人がやっちゃうところはどうかな、暴発するかもしれないのに、と思った。百姓に持たせて、と軽くいうけど、もし暴発して死んじゃったら、直虎すごく後悔するんじゃないかな。ちゃんと百姓のこと人間扱いしているし。まあ火縄銃なんて簡単には作れないと思うけれどね。

  政次は何考えてるのか本格的にわからなくなって来て、政次のお父さんによく似て来たと思う。亥之助と会話しているところなんて、以前のお父さんと政次と同じように見えたもの。もっと味方同士分かり合えるといいなあと思います。

おんな城主直虎(16)綿毛の案

2017・4・23放送

キャスト

  • 旅の男(柳楽優弥)…直虎と偶然出会う旅の男。ほとんど裸で初登場する。

 

あらすじ

  瀬戸方久に綿花の生産を提案される直虎。初めて見る木綿に興味津々の直虎は喜んで瀬戸村で育てようと思うが、人手が足りないと言う危機を迎える。それ以前に実施してしていた、誰の土地でもない土地を耕すとその土地がもらえ、しかも3年は年貢を取らないと言う「3年荒野」と言う政策にもかかわらず、百姓が足りないのであった。

  近くの国衆(?)であり新しい目付役の鈴木家へ百姓を借りにいく直虎だが、丁重に断られる。政次に頼りたくないばかりに、意地になって他の目付役のところへ頼みに行くが、失敗する。

  政次の元に、なつと亥之助が帰ってくる。最初はなつの身を案じる政次だが、なつの小野家を、政次を助けようと言う思いに触れて、受け入れる。

  政次は直虎を訪ね、ぎこちない之の字から直虎が六左と物見遊山に行ったと聞く。また、禰宜から綿花作戦と人手が足りぬと言う話を聞き、それだけで人を借りに行ったのだと言い当てる。

  領主が大事な百姓を手放そうとしないことにようやく気付いた直虎だが、六左と之の字が政次を頼るよう提案してくるのを退ける。直虎は、瀬戸村で綿花の芽が出ないため、他の村々へ綿花の種を持って回ったが、どこの村でも断られる。一緒に村を回った之の字はすっかり疲れ切ってしまった。そこで、一人で水を汲みに行くと、旅の男が泉で水浴びをしているのを見つける。そこで、どこかで人を買うと言う話を聞き、急いで瀬戸村へ戻ると、暖かくなったからか綿花の芽が出ていた。

  政次は直虎がまた不在であることを知り、六左を脅迫して居場所を聞き出す。

  直虎は、人が売られているのは主に戦場だと方久に聞き、戦場へ行こうと目論む。之の字が猛反発するが、なかなか聞き入れない。方久の茶屋で諸国の噂を聞くと、松平は戦が落ち着いてしまったこと、美濃で戦になるかもしれないことを話している。之の字が美濃は遠すぎると諌めていると、政次が現れて噂を流してはどうかと言ってくる。領主にとって得はなくとも百姓にとって得があれば、噂を聞いて逃げてくるものがいるかもしれないと。意地になって拒絶しようとする直虎を、之の字が優しくなだめ、自ら瀬戸村のことを茶屋の人々に吹聴し始める。方久もそれに乗り、そのうちに直虎も決意して加わり、皆と一緒に音楽に乗って歌い踊り始める。

  その後、戻ってきた直虎は疲れた様子で倒れてしまうが、病気ではなくただ寝ているだけだったことが判明する。同じ頃、駿府では寿桂尼がバッタリ倒れていた。

  起床した直虎は、続々と百姓が集まってくるのを目にする。大成功である。しかし、政次の策であることから、政次の方が城主にふさわしいのではないかと直虎は落ち込んでしまう。それを南渓和尚は、政次をうまく使えば良いと励ました。また、龍潭寺は虎松の手習いを始めることにする。しのは反発しそうになるが、政次の言葉を思い出し受け入れる。

 

台詞

  • (しのに対して、にこやかに)政次「仰せの通りにございますが、あまりあちらこちらに噛みつかれますると、頼りを失いまするぞ」
  • (小野家に戻ると風当たりがきつくなると心配する政次に対して)なつ「では、お役目も励みがいがあるというものでございますね」
  • 政次「(百姓を)貸してくれるかもしれぬと考えるのが、あの女の怖いところだ」
  • (六左に対して)政次「奥山殿、目付というのは(直虎の)物見遊山が多ければ物見遊山が多いと駿府にお伝えするのが役目じゃ。そしてそれは物見遊山と言う名の内通ではないかと疑うものも多くてな。…殿は、どこへ行かれた?」
  • (直虎がただ寝ているだけであったことがわかった後)之の字「六左殿、俺はな、正直ゾッとするのじゃ。殿をいただいて戦などの羽目になったら、到底お守りできる気がせぬ」

 

感想

  直虎の非常識ぶりに周りが振り回される話でもあり、政次が鋭くて頭の回転が速いと言う話でもある。百姓を物のように借りてこよう、買ってこようという発想に笑ってしまった。人買いというのが存在するらしくてかなり怖い。出会いたくない。だいたい、戦場で人を売っているってどういう状況なのかなあ?

  直虎のなんでもやってみようとする姿勢はすごいなあと思うし、ダメでもへこたれないなあと感心する。しかし連れ回される六左や之の字はかわいそうだった。

  政次は直虎が何をしているのか不透明なのに、きっとこうだろうとピンポイントで当てるのがすごい。よく観察しているからしそうなことがわかるのかな。呆れているようにも見えるけど、きっとそうじゃないんだろうな。

  木綿がこのころから作られていたとは驚きだったけど、いい綿花を栽培してたくさん儲けてほしいなあ。家臣が増えないと、人がいないのは侍の方も同じだよお。

  柳楽優弥くんはどのような役回りなのかなあ。チャラそうに見えたけど?気になる!

 

おんな城主直虎(15)おんな城主対おんな大名

2017・4・16放送

あらすじ

  とうとう寿桂尼駿府へ呼び出された直虎。井伊谷の家臣たちは直親が道中で殺害された事件を思い出してざわめく。再度後見を自分に譲るよう説得する政次をはねつける直虎。南渓和尚や母祐椿尼に、危なくなったら後見の地位など放り出して帰って来るようにと頼まれる直虎。道中の護衛を頼もうとした中野直之とは喧嘩してしまい、直之は完全にヘソを曲げてしまう。結果として龍潭寺の僧たちを護衛につけることになる。その裏でこっそりとしのに直虎を後見に望まぬという内容の書状を書かせる政次。最後に御初代さまの井戸で直親へ祈りの言葉をかける直虎。

  出立の日、緊張の面持ちで出発して行く直虎、政次、お付きの僧兵たち。それを不機嫌そうに見送る中野直之に、南渓和尚が瀬戸村の百姓たちに字を教えに行くのを手伝ってくれと頼む。慣れぬ筆使いで字を練習する瀬戸村の村人たちに囲まれる中野直之駿府から直虎に呼び出しがかかったことを中野直之が漏らすと、瀬戸村の村人たちはいきり立って助けに行こうとする。「直虎さまはおんなだに!お守りできんじゃ、おとこじゃねえわ!」と怒鳴る八助に、黙り込む中野直之。結局南渓和尚が秘策があると言ってその場を収める。

  その夜、どこかの屋敷に一泊する直虎は、緊張のせいかどこか元気が無くふさぎ込んでいる様子。部屋の周辺は僧兵が見張りをしている。そこに厠へ行こうと政次が通りかかった時、部屋の中から直虎の悲鳴が聞こえる。慌てて駆けつける僧兵たちと政次だが、傑山がすばやく政次を羽交い締めにする。襖を開けると、長い蛇が直虎へ向かって来ていて、直虎は腰を抜かしている。昊天が無事に蛇を確保し、政次も解放されるが、すっかり怯えてしまって動けない直虎。

  同じ頃井伊谷では、小野家に嫁いだなつが南渓和尚に政次のことを相談していた。政次には子がいないのに強硬に後見になろうとするのが解せない、実は今川から井伊を守る盾になろうとしているのではないか、と。南渓和尚は微笑みながらわからん、と言い、続けて「もしそれが政次の本意であったとして、政次はそれを認めぬじゃろうのお。それが本意であることがわかれば、もう盾にはならぬからのお」と微笑んだ。

  翌朝、出立しようとする直虎に、政次がこっそりと「おとわ」と囁いた。そして危険な目にあうかもしれないから後見を譲れと説得する。そこへ倒れて来る木と、木に突き刺さる斧、そして謎の侍による襲撃があり、怯えて即座に逃げる直虎。僧兵たちは応戦し、政次が直虎の後を追った。しかし、逃げる先に待ち伏せするように謎の侍が現れ、立ちすくむ直虎。政次は物陰に隠れて刀を抜き、助けようと身構えるが、そこに飛来した矢が曲者へ突き刺さる。現れたのは中野直之、あっという間に10人を超える侍をバッタバッタとなぎ倒し、平然とした顔をしている。「男の真似をしようが、直虎という名を名乗ろうが、そなたはおなごじゃ。そこですくんでおられたが何よりの証拠じゃ」と直虎を怒鳴りつけ、思わず反論しようとする直虎に、むしろ優しい声で、「守れねば、こちらの立つ瀬がないというておるのじゃ」と言った。絶句する直虎に駆けつけて来る僧兵たち。みな戦い疲労している様子だが、無事である。

  決意した眼差しで、直虎は政次に、後見を譲ると申し出た。自分が来たからには大丈夫と言いたげな直之を制して、命あっての物種だからと、目を伏せながら、「かように恐ろしいのはもうたくさんじゃ」と呟いた。結局、政次とお付きの者のみが駿府へ向かうことになった。それを見送った後、直虎は直之に、「之の字(ゆきのじ)」と呼びかけ、頼みごとをする。

  駿府寿桂尼に政次が後見を譲られた話をしているところへ、中野直之が書状を持って来たという知らせが飛び込み、驚く政次。寿桂尼が面談に応じると、そこにいたのは中野直之ではなく、中野直之の服を着た直虎であった。驚く寿桂尼と政次に、直虎は、何者かに襲われたためどうしても下知に従いたく政次を隠れ蓑に使ってなんとかたどり着いたと言う。仮名目録の文言に従ったまでで下知に逆らいたくはなかったと主張する直虎に対して、義元公の追加の掟によって守護不入より下知が優先されると言う寿桂尼。徳政令を実行せよと言う寿桂尼に対して、では後見をお認めくださるのかと食い下がる直虎。そこに政次がしのの書状を出したため、直虎は形勢不利に陥る。下を向く直虎。

  そこに、井伊から文が届く。長い長い文に「瀬戸村、祝田村一同、井伊直虎様の後見を、伏して願い奉りまする」と書いてあり、汚い字で一人一人署名がしてあった。そして南渓和尚の一言が添えてあった。「かつて義元公は己の力量を持って国を治むとのたまわれり。比ぶべくもない小さき力量なれど、直虎にもそれをお許し願いたく存じ奉り候。なぜならば、それが井伊の民が望むところゆえ、お伝え申し上げたくお目汚しとは承知の上差し出したる次第にて候」

  寿桂尼が試すように、直虎にどのように国を治めるかを問うと、直虎は「潤すことで」と答えた。「国というのは、まず民が潤わねばなりませぬ。民が潤えば、井伊が潤います。井伊が潤えば、それは今川が潤うことになっていくと、私は考えます」と。寿桂尼は目を潤ませ感動した様子で、「そなたに後見を許す」と言った。ただし次はないと釘をさしながら、寿桂尼は退出していき、直虎は感激して頭を下げる。

  館から出ると、奥山六左衛門が安心したように駆け寄ってきた。直虎は驚いて「六左(ろくざ)」と呼んだ。文を届けてくれたのは六左衛門だったのだ。そして井伊へと帰還する直虎は、瀬戸村の百姓たちに温かく迎えられる。そして、なつや僧兵たちや母祐椿尼へ帰還の挨拶をする。井伊直虎、ただいま戻ってまいりました!」

  南渓和尚は御初代様の井戸へ酒を捧げて感謝を示す。なつは政次の生き方を支えるために、小野家へと戻る決心をする。一方で今川氏真は直虎が後見についたことを面白く思っていない様子であった。

 

感想

  直虎にも仲間が増えてきて、之の字、六左というあだ名までついた!少ない家臣をなんとか味方につけることができて、四苦八苦したけどちょっとずつ前へ進んでいるよ。中野直之にはもっと苦戦するかと思っていたんだけど、「おんなは引っ込んでろ」って感じだったのが「おんななんだから守らせろよ」みたいに変化するとは、あまりに予想外すぎてちょっとだけときめいてしまった。しかしすぐに之の字扱いだから、直虎はときめかなかったのかなー?どうなのかなあ。ちょっと急に変化しすぎかなって思ってたけど、内心では拮抗してる感じだったのかもしれないね。意地っ張りだっただけで。直虎は弱々しくはないし頭もいいから負けた気分だっただけかもしれない。

  そして登場自体はずっとしてたのにいいところが全くなかったのが政次で、蛇に襲われた時、謎の侍に襲われた時、どっちも見ているだけだったからかなり不甲斐ない気持ちになったんじゃないかな。もうすこし見せ場が欲しいよね。これじゃあただの敵、のような。

  そして直虎はまた絶体絶命のピンチから生還した奇跡の人になったね。もちろん、ちゃんと認めてもらえるはずと思ってたけど、殺そうとしてくる相手だからね…絶対に大丈夫かはわからなかったけど、村人たちと南渓和尚のアシストがあって乗り切れてよかった。南渓和尚は言うことがいちいち名言というか、心に響くから不思議。長生きして欲しい。

  次は新しい登場人物が現れるみたい!